DTCC、証券トークン化サービスを本番運用へ
米証券市場の決済・保管インフラを担うDTCCが、DTCのトークン化サービスの提供に向けた進捗とスケジュールを5月4日に発表した。
DTCCの発表によると、DTCでトークン化された資産について、初期の限定的な本番取引を今年7月支援する予定だという。その後、今年10月には同サービスを正式に開始する計画だ。
DTCCとは、米国の株式や債券などの証券取引において、売買成立後の清算や決済、資産の保管・記録といったポストトレード業務を担う中核企業だ。その中で、証券の保管や名義管理、振替を担う機関がDTCだ。現在、DTCは114兆ドル(約1京7,943兆円)超の資産を保管している。
DTCCは、これまでもトークン化証券の取り組みを進めてきた。2025年4月にブロックチェーンを活用した担保管理プラットフォームの立ち上げを発表した。その後、同年12月には、米国債の一部をカントンネットワーク(Canton Network)上で発行する計画を発表している。
また、米証券取引委員会(SEC)からノーアクションレターを取得している。これによりDTCは、一定条件のもとでトークン化サービスのパイロットプログラムを運営できる見通しだ。
今回のDTCCのトークン化サービスは、DTCで保管される証券に対する権利情報をトークン化された形で記録・移転する仕組みだ。そのためトークン化された資産についても、従来の証券と同様の配当権利や投資家保護、所有権が維持される設計とされている。
対象資産は高い流動性を持つ証券に限定されており、米国上場企業上位1,000社で構成されるラッセル1000指数の構成銘柄、主要指数に連動するETF、米国財務省の短期証券や債券などが含まれる。
DTCCは、トークン化証券のサービス提供に向け50社以上の金融機関や関連企業と連携し同サービスの開発を進めているとのこと。これらの企業は、DTCCインダストリー・ワーキング・グループとして参加しており、資産運用会社や銀行、証券会社、取引所、暗号資産(仮想通貨)関連企業などが含まれている。
参加企業には、ブラックロック(BlackRock)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)、シティ(Citi)、JPモルガン(J.P. Morgan)、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)、ナスダック(Nasdaq)、NYSEグループ(NYSE Group)のほか、サークル(Circle)やロビンフッド・マーケッツ(Robinhood Markets)なども含まれる。
なお、米国の証券市場では、トークン化に向けた制度整備も進んでいる。ニューヨーク証券取引所(NYSE)は今年4月、トークン化証券を既存の注文板で取引できるようにする規則変更を米証券取引委員会(SEC)に提出し、即日有効となった。ただし、実際の取引開始はDTC側のインフラ整備後になる見込みだ。
同様にナスダック(Nasdaq)も今年3月、トークン化された株式やETFの取引・決済を可能にするルール変更についてSECの承認を受けている。これらの枠組みでは、トークン化証券は従来の証券と同一の注文板で取引され、議決権や配当受取権なども同様に扱われる。
いずれの取り組みも、DTCによるトークン化パイロットプログラムと連動した設計となっており、既存の証券市場インフラの枠組みを維持したままトークン化を導入する動きと位置付けられる。
Building on the SEC’s No-Action Letter related to DTC’s tokenization service, DTCC has convened more than 50 firms through its Industry Working Group to inform the development of DTC’s tokenization service and support responsible exploration of digital asset use cases.
— DTCC (@The_DTCC) May 4, 2026
Join the… pic.twitter.com/QyGd0SW5KW
参考:DTCC
画像:PIXTA