アーベDAO、アーベラボへの約25Mドル拠出を実行。収益をAAVEへ集約

議論が続いていた資金拠出提案が可決・実行

分散型金融(DeFi)プロトコル「アーベ(Aave)」のDAOであるアーベDAO(Aave DAO)が、アーベの主要開発企業アーベラボ(Aave Labs)への資金拠出を含む提案を可決し、4月13日に実行した。これを受け、アーベラボのCEOスタニ・クレチョフ(Stani Kulechov)氏が同日に自身のXアカウントで今後の方針を示した。

同提案は今年1月から議論が進められてきた「Aave Will Win Framework(アーベの勝利フレームワーク)」に関連するアーベラボに対する資金拠出案だ。この提案では、アーベブランドのプロダクトから生じる収益を、アーベラボではなくアーベDAOのトレジャリー(資金庫)へ集約する新たな運営モデルが示されている。これにより、アーベラボはDAOからの資金拠出によって開発や事業運営を行う構造へと移行する。

クレチョフ氏は自身のXアカウントで、AAVEトークンがプロトコルに加え、ブランドやプロダクトの経済的価値も担う構造になるとの考えを示した。

同提案の可決により、アーベラボに対してステーブルコイン2,500万ドル(約39億円)および75,000AAVEの拠出が承認された。資金は段階的に支払われる設計となっており、ステーブルコインは最大12ヶ月にわたりストリーム形式で支給される。またAAVEトークンは最大48ヶ月にわたり付与されるとのこと。

今回の提案は、これまで続いていたアーベの収益帰属や運営体制を巡る議論の中で位置付けられたものだ。

昨年12月、分散型取引所(DEX)アグリゲーター「カウ・スワップ(CoW Swap)」の統合により発生した手数料が、アーベDAOではなくアーベラボ側に送られていたことが明らかとなった。この事案を契機に、プロトコルの収益やブランド資産がどの主体に帰属するのかについて、コミュニティ内で議論が続いていた。

今回の枠組みでは、アーベに関連するプロダクトやアプリケーションから生じる収益をDAOへ集約し、経済的な権利をガバナンストークンであるAAVEに紐づける方針が示された。これにより、収益の最終的な帰属先をトークン保有者とする構造が明確化された形となる。

一方で、この方針を巡り、ガバナンスや運営体制のあり方についても議論が続いている。ガバナンス支援を担ってきたアーベ・チャン・イニシアティブ(Aave Chan Initiative:ACI)は、提案に関与する主体が投票にも影響力を持つ構造への懸念を示し、DAOからの離脱を表明している。また、リスク管理を担ってきたカオスラボ(Chaos Labs)も、運営方針や業務範囲の変化などを理由に離脱を発表している。

今回の提案は、こうした議論の中で収益の流れと資金供給の仕組みを整理するものと位置付けられる。今後は、「Aave Will Win Framework」に含まれる他の施策についても、別のガバナンス提案を通じて段階的に実装される見通しだ。

参考:投票ページ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。