プログマ、デジタル証券発行基盤を「アバランチL1」へ移行。海外を見据えパブリックチェーン展開へ

プログマが規制対応と相互運用性を両立する基盤刷新

デジタル証券の発行・管理基盤を提供するプログマ(Progmat)社が、アバラボ(Ava Labs)およびデータチェーン(Datachain)と協業し、デジタルアセット発行・管理基盤「プログマ(Progmat)」のパブリックチェーン展開の取り組みを開始すると2月26日に発表した。

今回の取り組みの中核となるのが、セキュリティトークンの発行・管理基盤「プログマST(Progmat ST)」で利用してきた分散型台帳基盤を、許可(パーミッション)型ブロックチェーンの「コルダ5(Corda5)」から、アバラボ開発の「アバランチL1(Avalanche L1)」へ移行することだ。アバランチL1は、アバランチ(Avalanche)ネットワーク上に構築されたEVM互換のレイヤー1ブロックチェーン(旧サブネット・現L1)だ。

この移行により、プログマ上で管理される全セキュリティトークン案件について、EVM互換環境への対応と、段階的なパーミッションレス化を進める方針だという。対象となるセキュリティトークン案件の運用残高は、本日時点で4,396億円超にのぼるとのこと。

これまでプログマは日本国内のセキュリティトークン市場において、金融商品取引法を前提とした運用や、証券会社や信託銀行など既存金融機関が参加しやすい環境を重視し、許可型ブロックチェーンであるコルダ5を採用してきた。国内で販売されるセキュリティトークンは、不動産や社債などを裏付け資産とするものが中心で、規制準拠や業務要件を満たすことが最優先とされてきたためだ。

一方で、海外では資産のトークン化や金融取引のオンチェーン化が進み、パブリックチェーンを活用したセキュリティトークンの流通や、分散型金融(DeFi)との接続を視野に入れた取り組みが拡大している。こうした流れの中で、複数のブロックチェーンや台帳が併存することを前提とした相互運用性の確保が、金融インフラにおける重要な課題として指摘されてきた。

プログマ社代表取締役の齊藤達哉氏は、2月26日に公開した自身のブログの中で、金融領域におけるオンチェーン化の進展に伴い、単一のブロックチェーンですべての金融取引を完結させることは現実的ではなく、複数の台帳やプラットフォームが併存することを前提とした設計が不可欠になると説明している。

今回のアバランチへの移行は、こうした環境変化を踏まえ、国内向けに構築してきたセキュリティトークン基盤を、より広いオンチェーン金融の文脈へ拡張するための基盤整備と位置付けられている。齊藤氏は、金融業務においては、規制対応や業務要件、主権性を確保しながら、将来的な拡張性や相互運用性を担保できることが重要な判断軸になるとしている。

アバランチは、用途に応じた独立したレイヤー1ブロックチェーンを構築できる仕組みを備えており、利用者やバリデーターの範囲を制御しながら、段階的にパーミッションレスな利用形態へ移行できる点が特徴とされる。また、EVM互換環境を提供していることから、既存のスマートコントラクト資産や開発ツールとの接続が容易になり、外部のオンチェーンサービスとの連携を視野に入れた拡張が可能になるとのこと。

今回の発表では、チェーン移行に加え、セキュリティトークンとステーブルコインを跨ぐクロスチェーンサービスの商用化方針も示された。このクロスチェーン領域を担うのが、ブロックチェーン間接続技術を開発するデータチェーンだ。

プログマは、今後データチェーンが開発するライトクライアント・プロキシ(LCP:Light Client Proxy)を活用し、複数のブロックチェーンが併存することを前提とした決済・取引基盤を構築するという。これにより、デジタル証券とステーブルコイン間の引き渡し対支払い(DvP)決済や、異なるステーブルコイン同士の支払い対支払い(PvP)決済を、特定のブロックチェーンに依存しない形で実現することを目指すとしている。

プログマによると、今回の基盤刷新は、単なる技術的な移行にとどまらず、海外機関投資家やオンチェーン金融サービスとの接続を視野に入れた取り組みだという。段階的なパーミッションレス化を通じて、金融機関の業務要件や規制対応を維持しながら、パブリックチェーン環境への展開を進める方針だ。

齊藤氏の解説によると、金融業務においてチェーン選定は、主語が「プロダクト」から「業務」に変わっていることが窺える。今回のアバランチL1への移行は、単に処理性能や開発効率だけでなく、規制対応や運用責任を担保しながら、将来的な相互運用性や拡張性を確保できるかが重要な判断軸となっているようだ。

アバランチL1への移行は、2026年6月末までに完了する見通しとされている。クロスチェーンサービスについては、商用化の進捗に応じて、個別案件ごとに順次発表されるとのことだ。

参考:プログマブログ
画像:PIXTA

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あたらしい経済 編集部

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