ストラテジーのマイケル・セイラー、ビットコイン担保の新デジタル銀行モデル提案

マイケル・セイラー氏が新たなビットコイン活用方法を提案

米ナスダック上場企業ストラテジー(Strategy)の会長マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏が、ビットコインを担保とする新しいデジタル銀行モデルを提案した。この内容は、Xアカウント「ザ・ビットコイン・セラピスト(The Bitcoin Therapist)」が12月8日に公開した、ビットコイン・メナ(Bitcoin MENA)カンファレンスでの講演動画から明らかになった。

セイラー氏はまず、日本・欧州・スイスなど先進国の銀行預金の利回りが「ほぼゼロ」である現状を問題点として挙げた。また短期金融商品の利回りについても、ユーロ圏で約1.5%、米国のマネーマーケットファンド(MMF)で約4%程度にとどまっていると指摘した。同氏は「投資家が社債やハイイールド債に向かうのは、銀行口座に失望しているためだ」と述べた。

そのうえでセイラー氏は、ビットコインを担保に利用したデジタルクレジット商品を組み合わせることで、低ボラティリティかつ高利回りを提供できるモデルが構築可能だと主張した。

提案したモデルは、デジタルクレジット80%、法定通貨20%、さらに10%のリザーブバッファで構成されるものだという。デジタルクレジット部分には5倍の過剰担保を設定し、価格変動リスクを抑える仕組みだと説明した。同氏は、このような商品を規制下の銀行が扱った場合、年8%程度の利回りを提供できる可能性があると述べた。

またセイラー氏は、これを国家が提供した場合には「20兆〜50兆ドル規模の資本流入を引き付ける可能性がある」と述べ、導入国が「世界のデジタルバンキングセンターになり得る」との見解を示した。
つまり同氏は、低金利に悩む既存の銀行システムの代替として、ビットコインを活用した「高利回り・低ボラティリティ預金」という新しい選択肢を国家レベルで提供できる可能性を示したことになる。

さらにセイラー氏は「人々が求めているのは、ボラティリティがなく、リスクフリー金利より数百ベーシスポイント高い利回りの口座だ」と述べ、この仕組みを「高性能デジタルマネー」と表現した。

なおストラテジーは12月8日、10,624BTCを9億6,270万ドル(約1,500億円)で追加購入したと発表している。同社のビットコイン保有量は66万624BTCとなった。

画像:Reuters

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あたらしい経済 編集部

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