ファイアブロックス、ステーブルコイン決済特化ネットワーク「Fireblocks Network for Payments」提供開始

ファイアブロックスがステーブルコイン決済インフラをローンチ

デジタル資産インフラストラクチャプロバイダー大手の米ファイアブロックス(Fireblocks)が、ステーブルコイン決済に特化した「ファイアブロックス・ネットワーク・フォー・ペイメンツ(Fireblocks Network for Payments)」のローンチを9月4日に発表した。

ファイアブロックスは、デジタル資産インフラ分野のソリューションをグローバルに展開する米企業。同社は決済やカストディ、トークン化などのサービスを銀行やフィンテック、取引所、カストディアンなどに提供している。現在はBNYメロン、Galaxy(ギャラクシー)、Revolut(レボリュート)をはじめとする2,400以上の企業がファイアブロックスの技術を活用。その取引額は10兆ドル超にのぼる。

同社は従来より「ファイアブロックス・ネットワーク(Fireblocks Network)」を提供してきた。これは世界の取引所・流動性プロバイダー・機関投資家などをつなぐ、暗号資産の送受信や流動性取引のための基盤ネットワークである。今回新たにローンチされたネットワーク・フォー・ペイメンツは、それとは別に設計されており、国際送金やマーチャント決済といったステーブルコインを用いた決済分野に特化している。

新ネットワークには統合APIと標準化されたワークフローが備わっている。これにより金融機関や決済事業者は、複雑なシステム統合や断片化した流動性の問題に直面せずにクロスボーダー決済や送金、マーチャント決済を構築できるという。

ファイアブロックスによれば、同ネットワークはすでに月間2,000億ドル超のステーブルコイン決済を処理しているとのこと。同社はこれまでに累計10兆ドルを超えるデジタル資産を安全に移転してきた実績があり、こうした基盤の上で新ネットワークが運用されているという。

また新ネットワークにはすでに40社以上の企業が参加している。

参加企業はサークル(Circle)、ブリッジ(Bridge)、B2C2、オープンペイド(OpenPayd)、イエローカード(Yellow Card)、シグナム(Sygnum)、ゾディア・マーケッツ(Zodia Markets)などが含まれるという。

また新ネットワークは今後、ステーブルコイン発行企業サークル(Circle)提供の金融機関向けグローバル決済インフラ「サークル・ペイメンツ・ネットワーク(CPN)」や、分散型アプリ(dApps)とユーザーの自己管理ウォレット(セルフカストディ)を安全かつ簡単に接続するオープンプロトコル「ウォレットコネクト(WalletConnect)」との統合も予定されているという。これにより、世界中の銀行や取引所、ウォレットなど2,400以上の参加者へのアクセスが可能になる見込みとのこと。

ファイアブロックスは新ネットワークの柱として4点を挙げている。グローバル接続性、単一統合による拡張性、市場横断的なコンプライアンス、そして収益機会を逃さない俊敏性だ。コンプライアンス機能には制裁チェックやウォレット検証、トラベルルール対応が組み込まれており、ノタベネ(Notabene)、エリプティック(Elliptic)、チェイナリシス(Chainalysis)との連携も明らかにされている。

同社は、SWIFTネットワークを例に出し、このファイアブロックス・ネットワーク・フォー・ペイメンツについて「デジタル資産経済における国際決済の接続レイヤー」と位置づけている。今後はトークン化預金や現実資産(RWA)、プログラマブル決済への拡張も視野に入れているとのことだ。

参考:ファイアブロックス
画像:PIXTA

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あたらしい経済 編集部

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