エルサルバドルがビットコイン準備金を分割、量子コンピューター対策で

14アドレスに分割

エルサルバドル国立ビットコイン局は、国家準備金の保有BTCを14アドレスに分割すると8月29日発表した。発表後、1アドレスあたり最大500BTCまでに制限されている。量子計算時代の脅威を見据えたセキュリティ強化と透明性向上が目的だという。

同局のウェブサイトによれば、記事執筆時点(2025年9月1日12:30)での準備金は6286.18BTCで、時価評価額は675,733,228ドル(約992.9億円)だ。

エルサルバドル政府は、2021年9月に世界で初めてビットコインを法定通貨として採用(現在は廃止)。またブケレ大統領は2022年11月17日、「私たちは明日(18日)から毎日1ビットコインを購入していく」とX上で宣言していた。

その後もエルサルバドル政府はビットコイン政策を推進してきたが、ビットコインには金融と法律の両面でリスクがあるとする国際通貨基金(IMF)との間で摩擦が生じた。

2024年12月18日には、エルサルバドル政府はIMFと14億ドル(当時約2,203億円)に及ぶ融資取得に合意。この取り決めの際、融資を受けるのと引き換えに、ビットコインの利用拡大策の見直し、および同国の公式デジタルウォレット「チーボ(Chivo)」への関与の段階的な取りやめについても合意した。

なお、IMFによれば、エルサルバドル政府は今年2月以降、ビットコインを購入していないとされていたが、エルサルバドルのビットコイン取得を監督するビットコインオフィス(The Bitcoin Office)は今年4月28日、Xにて「ビットコインの購入は継続中」と報告している。

暗号資産(仮想通貨)業界でも量子コンピューターによる暗号解読リスクに対する関心は高まっている。

一部研究者らは量子コンピューターがビットコインの暗号化を破る能力を2027年にも獲得する可能性があると警告している。現在、全ビットコインの約25%が公開鍵を露出しており、量子攻撃に対して脆弱な状態にある。攻撃者は秘密裏に休眠ウォレットから資金を抜き取ることで、「Q-day」攻撃を長期間隠蔽できる可能性があるという指摘もある。

参考:エルサルバドル国立ビットコイン局
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者