ソラナ、Alpenglowアップグレード提案が投票段階に

Alpenglowコンセンサス機能改善提案が投票段階に

ソラナ(Solana)ネットワークのコンセンサス機能を大幅に改善する提案「Alpenglow(アルペングロー)」が8月28日、コミュニティ投票段階に入った。同提案は現在のブロック確定時間を12.8秒から150ミリ秒に大幅短縮することを目指している。

アルペングローは現在のProof-of-History(PoH)とTowerBFTメカニズムを、より効率的なアーキテクチャに置き換えることを提案している。新しいシステムは「Votor(ボーター)」と「Rotor(ローター)」という2つの主要コンポーネントで構成される。

「Votor」は直接投票プロトコルで、ブロックファイナリティ(確定性)を12.8秒から150ミリ秒に短縮し、より高速なトランザクション確認を可能にする。「Rotor」はデータ配信プロトコルで、ネットワークホップを削減して帯域幅を最適化し、DeFi(分散型金融)やゲームなど高性能アプリケーションに最適化されている。

現在のソラナのファイナリティ時間はイーサリアム(Ethereum)の12.8分と比較すると高速だが、390-500ミリ秒を実現するSuiのMysticeti等の新しいチェーンと比較すると改善の余地があった。今回の提案が承認され実装が完了すると、これらの高速ブロックチェーンと同等もしくはそれ以上の速度が実現可能になる。

投票には全バリデーター(検証者)の33%の賛成が必要だが、現時点で約1,300のバリデーターのうち約22%が賛成票を投じている。なお「Votor」は初期展開の一部として実装予定だが、「Rotor」は後の段階で実装が予定されている。

また同提案では「20+20」耐障害性モデルも導入され、20%のバリデーターが悪意を持ち、さらに20%が応答不能になってもネットワークが動作を維持できるという。

現在のソラナアーキテクチャでは、バリデーターの投票トランザクションがオンチェーントランザクションの約70%を占めており、大きなステークを持つバリデーターほど収益機会が多い一方で、投票手数料はステーク量に関係なく固定という問題があった。この「固定コスト、変動収入」の経済モデルが小規模バリデーターの収益性を損ない、ネットワークの中央集権化を招いていた。

同投票はエポック840に開始されており、約4日後であるエポック842に終了する予定だ。

参考:投票ステータス
画像:iStocks/MARHARYTA-MARKO

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。