レイヤーゼロ財団、スターゲート買収を総額110Mドルで提案

LayerZero FoundationがStargate買収を提案

クロスチェーン相互運用性プロトコル「レイヤーゼロ(LayerZero)」を監督するレイヤーゼロ財団(LayerZero Foundation)が、分散型ブリッジ「スターゲート(Stargate)」の買収をStargate DAOに対し総額1億1千万ドル(約164億円)で8月10日に提案した。この提案は、主要エコシステム参加者を内部に取り込むことを目的としている。

提案が承認されれば、スターゲートのネイティブトークンSTGは廃止され、STGホルダーはレイヤーゼロのネイティブトークンZROに1STG:0.08634ZROの比率で交換できるようになる。この比率はSTGの1トークンあたり0.1675ドル、ZROの1トークンあたり1.94ドルの価値をもとに算出されている。またスターゲートはレイヤーゼロ財団の傘下に入り、DAOは解散されるとのことだ。

なおスターゲートは、レイヤーゼロのオムニチェーンメッセージング上に構築された「クロスチェーン流動性輸送プロトコル(ネイティブ資産ブリッジ)」だ。

レイヤーゼロの開発主体レイヤーゼロラボ(LayerZero Labs)の共同創設者兼CEOであるブライアン・ペレグリーノ(Bryan Pellegrino)氏は「より速く動きたい。スターゲートが野心的なロードマップを実行できるよう支援し、レイヤーゼロエコシステム内で統合する誰もが採用できる単一スタックを作りたい」とXで語った。

スターゲートは2022年にレイヤーゼロによって立ち上げられ、そのトークンSTGは発売直後に史上最高値の4.14ドルに達した。しかし提案書によると、同ブリッジは「業界で最も使用されているブリッジ」として700億ドルを超える過去取引量を誇るものの、トークン価格は現在0.20ドル未満まで下落している。

提案発表後、STG価格は10%以上上昇し、現在0.188ドルで取引されている。またZROトークンも約15%上昇している。

提案では、STGホルダーの投票が実施され、承認には70%の賛成が必要とされる。なお一部の初期回答者は、STGホルダーへの補償が不十分だと不満を表明している。あるユーザーは「STGトークンは以前のサイクルで4ドルまで上昇している。スターゲートが生み出す収益とプロトコルの可能性を考慮すると、この提案はもっと高額であるべきだ」と述べている。

8月12日に開催されたコミュニティコールでは、価格比率の決定方法や統合後の計画について詳細が説明された。ペレグリーノ氏は、STGの財務的裏付けと現在の市場価格を検討し、それにプレミアムを上乗せして価格を設定したと説明した。また長期間ロックされているveSTGホルダーには、統合後6か月間の収益分配を提供する修正提案も発表された。

なお同提案によると、統合により「ブリッジング以外への範囲拡大を含む積極的なロードマップを実行するためのリソースをスターゲートに提供し、エンドユーザーに触れる収益生成プロトコルをレイヤーゼロエコシステムにより深く結び付ける」ことを目指すとしている。ペレグリーノ氏は、STGトークンを保有するレイヤーゼロ関係者は全員今回の投票を棄権すると述べている。

参考:フォーラム
画像:iStocks/Максим-Ивасюк・ntriceight

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。