USYCとcUSDOがバイナンス担保資産に追加。機関投資家向けにオフエクスチェンジ活用拡大へ

機関投資家向けサービスを強化

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が、機関投資家向けのオフエクスチェンジ(取引所外)決済サービスに、トークン化された現実資産(RWA)であるUSYCおよびcUSDOのサポートを追加したと7月24日発表した。

これにより、バイナンスの機関投資家ユーザーは、USYCおよびcUSDOを、デリバティブ取引のオフエクスチェンジ担保として利用できるようになった。担保管理は「Banking Triparty」および「MirrorRSV」を通じて行われる。

「Banking Triparty」は、伝統的金融(TradFi)の三者間契約モデルを基に構築されたカストディ・ソリューションだ。機関投資家は、自社の法人口座を通じて、規制下にある第三者銀行に担保を安全に預けつつ、バイナンス上で取引を継続できる。この仕組みにより、カウンターパーティリスクを軽減しつつ、ガバナンスおよびコンプライアンス要件との整合性を保つことが可能になる。

「MirrorRSV」は、バイナンスの機関投資家向けカストディ・パートナーであるセフ(Ceffu)が開発したオフチェーン保管ソリューションだ。ユーザーは資産をコールドウォレットに分離保管しながら、バイナンス上で取引を行うことができ、保管状況はオンチェーンで検証可能。透明性と監査性の確保を両立しながら、バイナンスの流動性へアクセスできる点が特徴となっている。

USYCは、米サークル(Circle Internet Group)が提供するトークン化マネー・マーケット・ファンドだ。米国政府証券を裏付けとするリバースレポ契約を主要な投資先とし、USDCとの即時換金が可能な仕組みとなっている。また、USYCはBNB Chain上でネイティブ発行されることになる。

cUSDOは、バーミューダにてライセンスを取得し規制対象となっているOpenEden Digitalが発行する利付ステーブルコイン「OpenEden OpenDollar(USDO)」のラップドバージョンだ。USDOおよびcUSDOは、米国財務省証券およびリバースレポ契約で裏付けられた準備金から生成される利回りを保有者に還元する設計となっている。

また、バイナンスは機関投資家向けオフチェーン決済ソリューションのアクセス性を向上させるため、2025年末まで全サービス手数料を全面免除することも発表している。

バイナンスのVIP& Institutional部門の責任者であるキャサリン・チェン(Catherine Chen)氏は「機関投資家向けに、安全でアクセス可能かつ資本効率に優れたサービスを提供することにコミットしている。USYCの統合は、資本市場の未来を支える重要な一歩だ」と述べた。

参考:サークル発表バイナンス発表
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者