暗号資産関連企業の株価上昇、トランプ大統領のGENIUS法への署名受け

暗号資産関連企業の株価上昇

暗号資産(仮想通貨)関連企業の株価が7月21日に急騰した。イーサリアム(ETH)の価格が年初来最高値を更新し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が米国でのステーブルコイン規制法案に署名したことが市場を後押しした。

トランプ大統領は18日夜、同規制法案「ジーニアス法(GENIUS Act)」に署名。長年、規制枠組みの確立を求めてロビー活動を行ってきた暗号資産業界にとって大きな勝利となった。この法案は上院の承認を経て、17日に308対122の投票結果にて下院で可決されていた。

暗号資産の時価総額トップであるビットコイン(Bitcoin)は0.4%上昇したが、先週記録した過去最高値12万3,153ドルからは3%以上下落している。

この法案は、規制対象のステーブルコインの利回りや利息の支払いを禁止するもの。これを受け投資家らは、DeFi(分散型金融)における利回り代替手段として暗号資産の時価総額第2位のETHへ資金が移行しているとの見方から、ETHの価格上昇につながったとドイツ銀行(Deutsche Bank)は指摘している。

コインシェアーズ(CoinShares)のシニアリサーチアソシエイトであるルーク・ノーラン(Luke Nolan)氏は「ETHにとっては待望の瞬間だった。長期的なトレンド転換だと断定するにはまだ早いが、複数の要因がETHに追い風になっている」と語った。

ETHは20日に年初来最高値を記録した後、3,795.4ドルで取引を終えた。

暗号資産取引所大手コインベース・グローバル(Coinbase Global)およびステーブルコイン発行企業のサークル・インターネット(Circle Internet)の株価は、いずれも取引開始直後に約0.1%上昇した。

ステーブルコインは米ドルをはじめとする流動性資産と連動する形で設計されたデジタル資産。金やその他通貨と連動するものも存在する。トレーダーがトークン間の資金移動を行う手段として急速に広まっている。

バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)などの大手ウォール街の大手銀行も、自社発行の独自ステーブルコイン導入に向けた取り組みを進めている。

「トレジャリー戦略」にならう企業たち

最近になって暗号資産をバランスシートに追加している米上場企業の株も、21日に軒並み上昇した。

テック系富豪のピーター・ティール(Peter Thiel)氏が筆頭投資家であり、ファンドストラット(Fundstrat)のトム・リー(Tom Lee)氏が会長を務めるビットマイン(BitMine)の株価は2.7%上昇。ETH保有企業のビット・デジタル(Bit Digital)、BTCS、シャープリンク・ゲーミング(SharpLink Gaming)もそれぞれ2.3%~8%上昇した。

ゲームストップ(GameStop)などの企業は、最大のビットコイン保有企業ストラテジー(Strategy)の例にならい、暗号資産をバランスシートに取り入れる動きを加速している。同社の株価は2020年以降で約3,000%上昇しており、21日も1.7%上昇した。

ブランク・チェック・カンパニー(SPAC)のダイナミクス・コーポレーション(Dynamix Corporation)は、著名な暗号資産投資家らが支援する新ベンチャーのイーサ・リザーブ(Ether Reserve)との合併を発表し、株価は26.2%急騰。同社は今後、社名をイーサ・マシン(The Ether Machine)として上場する見通しだ。

その他の暗号資産も軒並み上昇。ソラナ(SOL)は今年2月以来の高値を記録し、プロシェアーズ・ウルトラ・ソラナETF(ProShares Ultra Solana ETF)も17.2%上昇した。

エックスアールピー(XRP)も1%上昇し、過去最高値に迫る水準で取引されている。

コインゲッコー(CoinGecko)のデータによると暗号資産市場全体の時価総額は、18日に4兆ドル(約590兆円)に達した。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Crypto-linked stocks advance after Trump signs stablecoin law
(Reporting by Shashwat Chauhan and Medha Singh in Bengaluru; Editing by Arun Koyyur)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。