グレイスケール、米SECにIPO申請書類を非公開で提出

グレースケールが米SECにIPO申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社グレースケール(Grayscale)が、米証券取引委員会(SEC)に対し、IPO(新規株式公開)の申請書類を非公開で提出したと7月14日に発表した。

今回の発表は、ワシントンD.C.で「クリプト・ウィーク(Crypto Week)」が始まるタイミングと重なっており、同期間中には暗号資産業界に長らく求められてきた規制の明確化につながる可能性のある3つの主要法案について、議員らによる議論が予定されている。

これらの法案は、暗号資産が従来の金融システムにさらに統合される道を開くと期待されており、投資家の関心を集めている。その影響でビットコイン価格は初めて12万ドルを突破した。

「これまでの暗号資産のサイクルは、規制が不透明な中で個人投資家が主導してきた。しかし、今回は機関投資家が主導している」と、バーンスタイン(Bernstein)のアナリストはリサーチノートで述べている。

グレースケールの今回の発表は、ステーブルコイン発行企業の米サークル(Circle)の大型上場から1カ月以上が経過した後に行われたもの。今後数カ月の間にIPOを目指す企業が新たに加わる可能性がある。

タイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)氏とキャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏が運営する暗号資産取引所ジェミナイ(Gemini)もIPO準備を進めているとされている。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の再任以降、暗号資産関連企業への関心は急速に高まっている。2025年に入ってから、暗号資産関連大手であるコインベース(Coinbase)およびストラテジー(Strategy)の株価は、それぞれ56%と50%上昇している。

2013年設立のグレースケールは、35を超える投資商品を通じて、総額330億ドル(約4兆8,510億円)の資産を運用している。

暗号資産業界における著名企業で、米コネチカット州スタンフォードに本社を置くグレースケールは、ビットコイン現物ETFの運用でも主導的な役割を担っている。

なお同社がSECに対して起こした訴訟は、2024年にビットコイン現物ETFが承認される道筋をつける上で重要な役割を果たした。

今回グレースケールが行った非公開の申請書類提出は、企業が財務内容や公開価格などの詳細を、上場日が近づくまで開示せずに済むという利点がある。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Crypto-focused Grayscale confidentially files for potential US listing
(Reporting by Niket Nishant in Bengaluru; Editing by Shinjini Ganguli)
参考:プレスリリース
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。