サムアルトマンのワールドコイン(WLD)、スペインから営業禁止を受け提訴

ワールドコインがスペインから営業禁止を受け提訴

ワールドコイン(Worldcoin)が、スペインでの営業禁止を受け、同国のデータ保護規制当局に対して訴訟を起こしたという。「ワールドコイン」広報担当者が3月8日に語った。

なおワールドコインは、AIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供する米オープンエーアイ(OpenAI)のCEOサム・アルトマン(Sam Altman)氏が立ち上げた暗号資産(仮想通貨)プロジェクト。

ワールドコインは「オーブ(Orb)」と呼ばれるボール状のデバイスで虹彩をスキャンし、各人それぞれの虹彩の特徴をデジタルコードに変換することで個人を識別する「World ID」を発行する。これによりワールドコインは世界的なIDシステムの構築を目指している。

現在この虹彩スキャンは無料ででき、スキャンしたユーザーは暗号資産「Worldcoin(WLD)」を受け取れる。この「WLD」の配布により、ベーシックインカム実現も計画されている。

スペインのデータ保護規制機関であるAEPDは3月6日、ワールドコインに対して、個人情報の収集中止と収集済みデータの使用停止を指示したと発表していた。

ワールドコインはこの禁止令に対し、AEPDが「EU法を回避している」「我々の技術について不正確で誤解を招く主張を広めている」と述べた。

これについてAEPDへコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。

ワールドコインはウェブサイト上の声明で、このプロジェクトの運営会社であるツールズ・フォー・ヒューマニティ(TFH:Tools For Humanity)がAEPDの命令に対して訴訟を起こしたと述べた。

声明では、AEPDが「EUで認められているプロセスと規則」と「GDPR(欧州連合一般データ保護規則)の下で確立された手続き」を回避したと述べられている。ただし詳細については明らかにされていない。

ワールドコインの広報担当者によると、今回の訴訟は「AEPDの命令を一時停止するための申し立て」であるとのこと。また訴訟は、スペインの高等裁判所の行政会議所に提出されたとのことだ。

同社はまた、ワールドコインの「オーブ」デバイスで虹彩をスキャンできる登録サイトを指し、スペインにおける「ワールドID検証サービス」のすべてを一時停止したと述べた。

ワールドコインのウェブサイトによると、虹彩スキャンに登録した人の数は120カ国で400万人を超えた。しかしこのプロジェクトはアルゼンチンからドイツに至るまで、個人情報保護の活動団体から批判を浴びている。

昨年10月には、ケニア政府の合同特別調査委員会が同国規制当局に対し、ケニアでのワールドコインの事業停止を勧告。今年に入り2月には香港の個人情報保護委員会(PCPD)が、ワールドコインの香港事務所6つに立ち入り調査を行い、また韓国の個人情報保護委員会もワールドコインについて調査開始を発表している。

AEPDは3月6日、不十分な情報、未成年からのデータ収集、同意の撤回を認めないことに関する苦情を受けて、ワールドコインに対し、個人情報保護の観点からリスクがあるとして、最長3カ月間の活動禁止を要請した。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Sam Altman’s Worldcoin files lawsuit after Spanish ban
(Reporting by Elizabeth Howcroft and Emma Pinedeo; Editing by Tommy Reggiori Wilkes and David Evans)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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