ソラナ(SOL)とEVMが相互運用可能に、クロスチェーンプロトコル「deBridge」サポートで

deBridgeがSolanaをサポート開始

クロスチェーンブリッジなどのブロックチェーン間通信プロトコルを提供する「デブリッジ(deBridge)」が、同社提供のソリューションにおいてソラナ(Solana)のサポート開始を6月29日に発表した。

これによりユーザーはソラナと、仮想マシン「EVM(Ethereum Virtual Machine)」を搭載したブロックチェーンの間でシームレスな通信を低い手数料にて行うことが可能になったという。

ソラナは、イーサリアムやアービトラム(Arbitrum)、ポリゴン(Polygon)などが搭載する仮想マシン「EVM」と互換性のない独自の仮想マシン「Solana Virtual Machine(SVM)」を搭載しており、設計が異なる。そして扱える開発言語も異なるため、相互通信の実装が難しかった。

「デブリッジ」はソラナ対応のツールを複数公開しており、そのうちの一つ「evm-sol-serializer(EVMソラナ・シリアライザー)」は、EVMチェーン上での開発に使用するプログラミング言語「Solidity(ソリディティ)」や「Vyper(ヴァイパー)」でソラナのスマートコントラクトを直接実行できる命令を構築できるプロトコルである。

また一方「デブリッジ」のインフラストラクチャーをソラナに接続する為のツール「deBridge Solana SDK(デブリッジ・ソラナSDK)」によって、ソラナチェーン上からクロスチェーンメッセージを送信できるようになる。

今回「デブリッジ」によるこれらのツール実装により、ソラナブロックチェーンとEVMチェーンのスマートコントラクトを相互接続できるようになったというわけだ。

なお「デブリッジ」によるとこれら機能の実装は、同社が提供するクロスチェーンスワッププロトコルである「DLNトレード(DLN Trade)」がすでに採用しているという。

「DLNトレード」は、分散型オーダーブックを使用することで、一つのチェーン上の任意のアセットを、流動性プールのボトルネックとリスクなしに他のチェーン上の任意のアセットに直接取引することを可能にしている。前述した機能実装により、ソラナブロックチェーンがこれに対応した。

ちなみに通常多くの分散型取引所が採用する流動性プールは、分散型取引所にロックされたトークンの集合体で、トークンのオープンマーケットでの取引を容易にするために使用される。しかし「DLNトレード」では、流動性プールに依存するのではなく、クロスチェーン通信技術を用いることでチェーンを跨いだピアツーピア(P2P)の流動性を作り出すことで取引を可能にしている。

先日ユニスワップの開発をサポートするユニスワップ財団(Uniswap Foundation)のブリッジ評価委員会(Uniswap Bridge Assessment Committee)が、ブリッジプロトコルを評価した報告書を発表した。

その報告書には「デブリッジ」が提供するブリッジプロトコルに関する評価も行われていたが、現在ユニスワップに採択される基準を満たしていないとし採用されることはなかった。

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。