米コインベース、ミームコイン解説にてPEPEコミュニティを怒らせる=報道

ミームコインの急騰について言及

大手暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)が、暗号資産ペペ:Pepe(PEPE)の一部ファンを怒らせている。5月11日複数の報道機関が報じた。

コインデスク(CoinDesk)によれば、コインベースは5月10日のニュースレターで、今年に入ってのビットコインとイーサリアムの価格上昇について触れた他、ミームコインの流行により時価総額の低いコインが急騰し、ブロックチェーンのガス代が今年の最高値を更新していることを指摘したという

なお先週のミームコインの取引量は23億ドル(約3098.8億円)に急増し、前週の6倍以上、2021年5月以来の高水準になったと報告されている。

コインベースのニュースレターでは「現在も続くミームコインのマニアは、4月中旬の発行以来55,000%近い成長を遂げたPEPEの上昇が牽引しており、そのPEPEはわずか3週間弱で時価総額18億ドル(約2425.2億円)に跳ね上がり、史上最も急成長したトークンの1つとなった」と記載されている

また開発者によってビットコインのブロックチェーン上で直接トークンを発行できるBRC-20(Bitcoin Request for Comment)トークン規格が導入されたことに伴い、ビットコインベースのミームコインの成長も促進されていると述べられている。

PEPEに関する記述で炎上

このニュースレターでコインベースは、PEPEのモチーフとなっている「カエルのペペ」がインターネット上で、差別的表現に使用されていると記述。このことが一部の暗号資産関連のツイッターコミュニティの人々を激怒させる結果となり、一時「#deletecoinbase」がトレンド入りする事態となった。

具体的に同ニュースレターではPEPEについて「このトークンは、20年近く前にコミックストリップのキャラクターとしてインターネット上に初めて登場した[カエルのペペ]をベースとしている」とし、「名誉毀損防止連盟(ADL)によると、時間の経過とともに、それはオルタナ右翼(alt-right:米国における右翼・保守思想のひとつ)のグループによって憎悪のシンボルとして共同利用されてきた」と記載。

これを受けツイッターのペペコミュニティから「PEPEはヘイトシンボルではない」という指摘が噴出。コインベースのアカウントを閉鎖し、他の暗号資産取引所のサービスへ鞍替えするというツイートも見られた。

なおADLのサイトによれば「カエルのペペの使い方の大半は、今も昔も偏見のないものだ。しかし、4chan、8chan、Redditなどの人種差別的なミーム・イメージを作ることに喜びを感じるユーザーが多いネットの場でミームが広まるにつれ、人種差別や反ユダヤ主義などの偏見をテーマにしたペペミームが一部存在することは不可避であった」とし、「ミームの使用を文脈の中だけで検証することが重要だ。ペペのミームを投稿したという事実だけで、その人が人種差別主義者や白人至上主義者であることを意味するわけではない」と記されている。

グレワル氏も謝罪

またニュースレターには、免責事項として「必ずしもコインベースまたはその従業員の見解を反映するものではない」と記されているものの、コインベースが記載したPEPEに関する表現は、暗号資産関連のツイッター界隈で炎上の火種となる結果となった。

この事態を受け、コインベースの最高法務責任者であるポール・グレワル(Paul Grewal)氏は5月12日のツイッターにて「大変な過ちを犯し、申し訳ない」と謝罪。「昨日、私たちはトレンドトピックの事実に基づいたイメージを伝えるために、PEPEの概要を共有した。これはミームの歴史の全体像を提供するものではなかったため、コミュニティの皆様にお詫びする」と述べている。なお同社ニュースレターでも謝罪及び修正の上記事を更新した旨が記載されている。

PEPEの時価総額は下落も一部クジラは購入を続行

コインゲッコー(CoinGecko)によると、PEPEの時価総額は5月6日に記録した最高値の約18億2000万ドル(約2,453億)から、記事執筆時の2023年5月12日15:30時点では4億6,126万ドル(約621.7億円)まで下落している。

またブロックチェーン分析会社のルックオンチェーン(Lookonchain)のデータによれば、元テック企業家ジェフリー・ファン(Jeffrey Huang)のオンライン人格とされる「Machi Big Brother」が、過去4日間に合計73.4ETHのPEPEを購入。同ETHは約137,000ドル(約1845.6万円)相当で、PEPEの平均購入価格は0.000002082ドルだという(なお同氏は、暗号資産界隈ではあまり良い噂のない人物とされている)。

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参考:コインベースADLコインゲッコー
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Yevhenii-Dubinko

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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