「手に負えない」バイナンスがFTX買収の方針を撤回

バイナンスがFTX買収の方針を撤回

バイナンス(Binance)が昨日表明したFTXの買収方針を撤回した。バイナンスCEOのCZ氏が買収に関するLOI(基本合意)に署名したことを表明してから、わずか1日でその判断は急転した。

昨日のCZ氏の報告によると、LOIは拘束力のないもので、最終的な買収判断はバイナンスがFTXへデューデリジェンス(経営・財務情報の調査)のうえ行うとしていた。またCZ氏は「この契約が正式に成立するには対応事項が多く時間がかかる」ともコメントしていた。

バイナンスは日本時間11月10日6:00にツイッターで「企業デューデリジェンスの結果、また、顧客資金の誤処理および米国当局の捜査疑惑に関する最新の報道を受け、当社はFTX.comの買収の可能性を追求しないことを決定しました」と報告している。

今回の買収騒動を受け、FTXの顧客資金の取り扱いについて、米商品先物取引委員会(CFTC)と米証券取引委員会(SEC)が調査を行っていることが報道されている。

CZ氏は買収発表後に「全ての暗号資産取引所が準備金の証明を行う必要がある」と主張。同氏は「銀行が準備金を投融資に回し運営を行うが、暗号資産取引所はそれをすべきでない」と述べ、近くバイナンスが準備金を証明し、完全な透明性を示す方針であることを明かしている。

今回バイナンスがFTX買収を進めたのは、流動性危機に陥ったFTX発行のFTXトークンに関わる顧客を保護する為にFTXからの支援要請をうけたとのことだったが、バイナンスは「当初は、FTXのお客様に流動性を提供するためのサポートができればと考えていましたが、問題は私たちの手には負えませんし、助けることもできません」とその判断を伝えている。

バイナンスは「業界の主要プレイヤーが破綻するたびに、消費者は被害を受けることになります。私たちはここ数年、暗号資産のエコシステムがより回復力を増していることを目の当たりにしており、やがてユーザーの資金を悪用する異常者が自由市場によって淘汰されると信じています」とコメントし、「規制の枠組みが整備され、業界がより分散化に向けて進化を続ければ、エコシステムはより強固なものになるでしょう」と付け加えている。

このバイナンスの買収撤回を受けてか、ビットコイン(BTC)は2020年11月以来初めて16,000ドルを下回っている。

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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