ドコモがweb3に6000億円投資へ、暗号資産発行やウォレット、交換事業も計画

ドコモがweb3に6000億円投資へ

NTTドコモが、web3分野へ6,000億円規模の投資を行う方針を11月8日に発表した。

同日開催された2022年度第2四半期決算発表記者会見でドコモは、web3において「日本発のグローバルデファクトを目指す」とし、この分野において日本に限らずグローバルに展開する方針であることを明かした。

また同社は「ブロックチェーン・ウォレット」、「暗号資産交換」、「トークン発行」、「セキュリティ」をweb3における共通機能群(Web3 Enabler)としてまとめており、これら全てを事業として進め、「基盤側のサービス提供を目指す」と説明している。NTTドコモ代表取締役社長の井伊基之氏は「ユーザーからみると、セキュリティ・法令順守の懸念・ユーザビリティといった課題があり、これらの重要な共通機能をドコモが提供することでweb3の利用促進につなげたい」と会見で話した。

またこの取り組みについて井伊社長は「かなり高度でかつ専門的知識・経験・能力が必要である」とし、日本発のパブリックブロックチェーン「アスターネットワーク(Astar Network)」の開発を主導するステイクテクノロジーズ(Stake Technologies)および、アクセンチュア(accenture)と共にイニシアティブをとり、DAO(自律分散型組織)型アプローチ によって多様な業界・業種からの参加・連携を図るとしている。なおドコモとアスターは10月31日にweb3の普及に協力して取り組む基本合意を締結している。

これらの取り組みにあたりドコモは、5~6年で5,000~6,000億円規模の投資を行うとしており、2023年を目途に新会社を設立する方針も明かしている。なお投資の内訳については非開示とのことだったが、M&Aも進めていく意向であることも伝えられた。

また新会社についても何社かの出資を募り設立するとのことだった。井伊社長は「色々な方々と今後連携してやっていく。ノンエクスクルーシブで考えている。(web3には)色々な機能や役割が必要、すでに動き始めている海外も含めた企業との座組もできるのではないか」と会見で述べている。

また会見で「web3は儲かるのか?」といった記者からの質問に対し、井伊社長は「儲かるのかについては、儲かるようにするのがビジネス。大きく6000億という中期的な目標を出したが、事業を開始するときにどうしても初期投資はかかる、また金融業なので発行するときにお金はかかるので運転資金は出てくる。たくさん使うのはリターンが期待できているときだと考えるべき。最初から小さくいくと一緒にやってくれる人は出てこない。我々としては本気でこれ(web3)について取り組んで行きたいということを示すための金額としてお示ししたと理解していただけるとありがたい。儲かるようにやらないと私はクビになります。頑張ります」とコメントしている。

アスターネットワークとは

アスターネットワークは、異なるブロックチェーンの相互接続(インターオペラビリティ)を目指すプロジェクトであるポルカドットのパラチェーンとして昨年12月に接続し、1月17日にメインネットローンチしたブロックチェーンだ。

ポルカドットは中心的な機能を果たすリレーチェーンと、そのリレーチェーンに接続される個別のブロックチェーンであるパラチェーンによって構成されている。ポルカドットリレーチェーンでは、スマートコントラクトをサポートしていない為、アスターはポルカドットへEVM(イーサリアムバーチャルマシン)やWASM(ウェブアッセンブリ)を提供することで、複数のブロックチェーンをサポートするマルチチェーンスマートコントラクトハブの役割を担っている。

またアスターネットワークでは、開発者支援の為にBuild to Earn(構築して稼ぐ)の仕組みである「dApp staking」有しているのが特徴だ。「アスターネットワーク」と統合したdAppやインフラストラクチャに対して、ユーザーが同ネットワークのネイティブトークン「ASTR」をステーキングすることで、開発者とユーザーが報酬を得られる仕組みとなっている。ユーザーは「dApp Staking」でdAppに「ASTR」をステーキングする事で、報酬を受取りながらも、開発者を支援することが可能となる。

なおアスターネットワークは、シンガポール拠点のステイクテクノロジーズ(Stake Technologies)が開発を主導しており、同社のCEOも渡辺創太氏が務めている。

現在「ASTR」は、暗号資産(仮想通貨)取引所のフォビグローバル(Huobi Global)、OKX(オーケーエックス)、Gate.io(ゲート)、クラーケングローバル(Kraken Global)、クーコイン(KuCoin)、バイナンス(Binance)、バイナンスUS、クリプトドットコム(Crypto.com)、そして国内ではビットバンク(bitbank)で取り扱われている。

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参考:DEA
デザイン:一本寿和

images:iStocks/GA161076

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。