米国司法省、北朝鮮に暗号資産技術での制裁回避を支援した疑いで、欧州人2人を起訴

米国司法省、北朝鮮に暗号資産技術での制裁回避を支援した疑いで、欧州人2人を起訴

米国司法省が、最近判決を受けた米国の暗号資産研究者と共謀し北朝鮮の米国制裁回避を支援した疑いで、2人のヨーロッパ人を起訴したことが4月25日に分かった

朝鮮親善協会という団体を設立したスペインのアレハンドロ・カオ・デ・ベノス(Alejandro Cao de Benos)氏とクリストファ・エムズ(Christopher Emms)氏は、イーサリアム研究者のヴァージル・グリフィス(Virgil Griffith)氏を勧誘して暗号資産とブロックチェーン技術のサービスを北朝鮮に違法に提供したとして告発されていた。

両被告は逃亡中であり、両者の弁護士もすぐに特定することもできない。

検察によると、カオ・デ・ベノス氏とエムズ氏は、カリフォルニア工科大学で博士号を取得したグリフィス氏が、2019年4月に中国経由で北朝鮮に渡航し、平壌ブロックチェーンおよび暗号資産会議に出席するよう手配したという。

エムズ氏とグリフィス氏はこの会議で、北朝鮮政府のメンバーや他の参加者に、最先端のブロックチェーンと暗号資産技術を使用して制裁を回避し、資金洗浄を行うことについて教えたとされている。

マンハッタンのダミアン・ウィリアムズ(Damian Williams)連邦検事は声明で「こうした指示は、北朝鮮の敵対的な核開発を阻止し、米国の安全保障上の利益を守るための米国の制裁を回避するためだった」と説明した。

なおベノス氏が「朝鮮親善協会」を設立した理由は、朝鮮半島の平和的統一に貢献しようとするためだとホームページで説明されている。

起訴状には、2019年6月にグリフィス氏が米国大使館と渡航について話し合ったことを知ったベノス氏が、グリフィス氏を諭したとされる2つのメールが引用されている。

ベノス氏「罰金や刑務所行きもあり得るのです。だから、私たちは誰にも言わなかったし、出席者を公表もしなかったのです」と説明し、さらに「あなたの北朝鮮への入国許可は絶対に例外的なもので、私の非常に個人的な保証によるものだと理解してください。私はクリスを信頼し、彼はあなたを信頼しているからです」と述べている。

ベノス氏(47歳)とエムズ氏(30歳)は、有罪になればそれぞれ最高で20年の禁固刑に処される。

グリフィス氏は4月12日、共謀罪の罪を認め、5年超の禁固刑を言い渡された。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
(Reporting by Jonathan Stempel in New York; Editing by Bernadette Baum and Marguerita Choy)
images:ロイター
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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