米ステートストリートがデジタル証券保管振替機構と連携、カストディサービス提供へ

米ステートストリートがデジタル証券保管振替機構と連携

米大手資産運用企業ステート・ストリート(State Street)が、デジタル証券保管振替機構(Digital Securities Depository Corporation:DSDC)へデジタル預託証券のカストディサービスを提供することを10月14日に発表した。

預託証券とは企業が他国で自社株を売買してもらう手段の1つだ。具体的に、預託証券は企業が他国の金融機関に自社株式を預託し、その金融機関が同様の債権に基づき発行された証券のことをいう。

DSDCは、米国公開市場でデジタル預託証券(DDR)をより効率的に作成・発行・サービスするために、第三者規制金融機関との間でボーダレスな証券決済インフラを運営する企業である。

発表によれば、ステート・ストリートはDSDCが保有する非米国上場株式の保管、取引決済、配当金受領、FX決済サービスを提供するとのことだ。一方で、DSDCは英国のFTSE350インデックス(FTSE350種総合株価指数)の株式を、米国投資家に効率的に提供していくとのことだ。

ステート・ストリート・デジタルの責任者ナディーン・チャカー(Nadine Chakar)氏は、DSDCへカストディサービス提供開始について次のようにコメントしている。

「ステート・ストリートは、DSDCと協力して、新たな市場への多角化という成長戦略を支援できることを嬉しく思います。この任務は、ステート・ストリート・デジタルが暗号資産およびデジタル資産のエコシステムの構築を支援するという、当社の広範なグローバル戦略を継続して実現しているもう一つの例です」

DSDCのCEOアリスター・ジョーンズは、次のようにコメントしている。

「ステート・ストリートは、世界的に最も大きく、最も尊敬されているカストディアンの一つです。ステート・ストリートが私たちのデジタル・クロスボーダー証券のカストディ業務を担当してくれることで、投資家と他のネットワーク・メンバーの双方に大きな信頼を与えることができます。これにより私たちは当初の規制対象機関のグループを超えてネットワークを構築・拡大することに集中できます」

ステート・ストリートは暗号資産やブロックチェーン領域に対応するため、ステート・ストリート・デジタルを6月に立ち上げた。

ステート・ストリート・デジタルは具体的に暗号資産、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、ブロックチェーン技術、トーカナイゼーションに焦点を当てている。

またステート・ストリートは暗号資産会計や税務ソフトウェア提供のルッカ(Lukka)へ投資を行なっている。

参考:ステート・ストリート
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Who_I_am

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。