中国成都市の建築業界、出稼ぎ労働者の給与透明化にブロックチェーン活用

中国成都市の建築業界、出稼ぎ労働者の給与透明化にブロックチェーン活用

中国四川省の成都市の建設業界で利用されている、ブロックチェーン技術を使用したアプリ「安心築(An Xin Zhu)」の仕組みと成果について、中国の国営通信社である新華社通信が5月31日に報じた。

このアプリでは、成都市の建設業従事者、特に出稼ぎ労働者の権益を保障し、顔認証技術、完全オンライン契約、ブロックチェーンでのデータ管理と記録などの機能に基づいて、出稼ぎ労働者の給与支払いの透明性と安全性を保障したとのことだ。

なおこのアプリと採用されているブロックチェーン技術は、建築業で活躍するIT企業である一智科技と上海交通大学の暗号・コンピュータセキュリティ研究室が共に開発したものだ。

報道によると、これまで「安心築」アプリは、中国全国で約70個のプロジェクトで試験運用され、25,000人の出稼ぎ労働者がアプリに登録している。アプリを通じて労働者へ支払われた累積給与は2,000万元(約3億円)を超えており、給与の支払いの延滞や要求がないとのこと。

アプリを利用している労働者は「長い間働いてきたが、自分が毎日いくら稼いでいるのか初めて知りました。(アプリがあったから)給与の紛争がようやくなくなりました。月給はアプリ経由でカードに支払われ、1円が少ないこともないです」とコメントしており、また別の労働者は「昔は給与延滞の問題がありました。勤務時間も手書きで書いていたので、よく合わないことが多くて、その分のお金がもらえなかったです。でも今では毎日稼いだお金がスマートフォン(アプリ)ではっきり見られて、数日間だけ働いても給料をちゃんと貰えます」と述べている。

「安心築」アプリは成都市以外の他の省市にも推し進めらているとのことだ。

参考:新華通訊社、成都探索区块链技术保障农民工发薪
デザイン:一本寿和
images:iStock/Molnia

この記事の著者・インタビューイ

呉心怡

「あたらしい経済」編集部 中国・浙江省出身の留学生。東京女子大学 人文学科に在学中。 文章を書くことが好き。中国語、英語、日本語の3か国語を話す。あたらしい経済では持ち前の語学力を活かし、ニュース記事を執筆。ブロックチェーンや経済分野については勉強中。

合わせて読みたい記事

【5/2話題】ビットコインが下落、米検察がブロック捜査、レイヤーゼロがスナショなど

ビットコインが6%近く下落、FOMC控え 最高値から22%安、米連邦検察、米決済ブロックの社内業務を調査=報道、レイヤーゼロがスナップショット実施、エアドロ間近か、テザー社、Q1が過去最高益45億ドル超に、純資産額も初公表、米セキュリタイズがブラックロックらから4700万ドル調達。サークル、アプトスラボ、パクソスも参加、HashKey DX・リップル・SBI Ripple Asiaが提携、法人向けの「XRP Ledger」の日本市場導入で、「スイ(SUI)」のミステンラボ、グーグルクラウドと提携、親クリプト派マクヘンリー米下院議員、SECのイーサリアム調査を非難、ストライプで「AVAX」の購入が可能に、アバランチとコアウォレットに統合で、ユニスワップウォレットに「Robinhood Connect」統合、ロビンフッド内の資金で暗号資産購入可能に、イーサリアムL2「Scroll」がアップグレード実施、EIP-4844に対応、クリプトヴィレッジのLocal DAO、旧山古志に続き「長野県天龍峡」と「宮崎県椎葉村」を選定。「Nishikigoi NFT」保有者の投票で決定へ