フェイスブックが決済専門のグループ「Facebook Financial」を発足

フェイスブックが決済専門のグループ「Facebook Financial」を発足

フェイスブックが決済やコマースの機会を追求するための新しいグループ「Facebook Financial」の発足を発表したとBloombergが報じた。「Facebook Financial」はフェイスブック社内ではF2と呼ばれていて、責任者にはフェイスブックらの暗号資産(仮想通貨)プロジェクトLibra(リブラ)の責任者でもあるDavid Marcus(デビッド・マーカス)氏が着任したとのことだ。このグループは「Facebook Pay」「Novi」「WhatsApp」など決済プロジェクトを担当するようだ。

David Marcus氏は「私たちはフェイスブック全体で多くのコマース関連業務を進めています。支払いに関するあらゆることについて、企業レベルで戦略を合理化するのは正しいことだと感じました」とはBloombergに語っている。

さらにDavid Marcus氏は「金融サービス規制の専門知識を持っていると、最初から正しい方法で物事を構築できます。金融サービスの世界では規制の有無が事業チャンスを左右するので、規制に準拠しないテクノロジー企業とは大きく差がつきます」ともBloombergに語っている。

「Facebook Financial」が立ち上がったことによって、David Marcusは暗号資産「Libra」を保有するためのデジタルウォレットを構築している部門「Novi」とインドやブラジルなどの国での「WhatsApp」の決済への取り組みにも携わることになる。そしてFacebookは、元Upwork Inc. 最高経営責任者のStephane Kasriel(ステファン・カスリエル)氏を決済担当の副社長として採用している。Upworkは企業や個人がビジネスをするために接続するグローバルなフリーランスプラットフォームを運営していた企業である。

編集部のコメント

5月19日のフェイスブック社の株主総会でのマークザッカーバーグCEOは決済領域へ注力することを伝えていました。そこでフェイスブックが決済領域へ注力する理由を説明します。フェイスブックは広告ビジネスにおいて、手数料、入札料から収益を得ています。つまり広告収益を高めるためには、手数料、入札料を上げる必要があります。

フェイスブックは決済システムを導入することで、これまでの広告の認知やクリック数を高めるという役割から、商品を購入の役割まで担えるようになります。そのように変化すれば、広告利用企業が商品の認知獲得のために、広告クリック数を高めることを目的にした広告利用から、商品販売のための広告利用へと変わります。

企業としてはいくら商品の認知が高まったとしても、商品が売れなければ収益につながりません。このようなビジネス構造な故に、ペイメントシステム導入がフェイスブックの広告収入を上げうると考えているのだと思われます。

「Facebook Financial」は「Libra」、「WhatsApp」、「Facebook Pay」を含め、様々なペイメントシステムをどのように連携させて利用していくべきかを考え、実行していくグループだと考えられます。つまり今後のフェイスブックのビジネスモデルの根幹を設計する非常に重要なグループになるのではないでしょうか。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)

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この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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