北米コカ・コーラがBaseline Protocolを介してイーサリアムメインネット上で生産ネットワーク構築を目指す

北米コカ・コーラがBaseline Protocolを介してイーサリアムメインネット上で生産ネットワーク構築を目指す

北米コカ・コーラのビジネスITプラットフォームを開発するCONA Services(Coke One North America:コナ・サービス)が、イーサリアムを利用したサプライチェーン基盤「Coca Cola Bottling Harbor」の設立を目指すことを8月3日に発表した。

「Coca Cola Bottling Harbor」はイーサリアムを利用してパブリックな生産ネットワークを構築し、コカ・コーラのサプライチェーンに関係する企業が障壁なく生産ネットワークに参加できるようにすることを目的としている。コカ・コーラグループ内部のサプライヤーのみならず、サプライチェーンに関与する外部企業(たとえば缶やボトルを製造する企業など)も生産ネットワークにアクセスできるようになるとのこと。

「Coca Cola Bottling Harbor」のイーサリアムへの統合にはBaseline Protocolが利用される。このプロトコルはイーサリアムメインネット上で低コストかつ安全なプライベートビジネスプロセスを構築することを可能にするオープンソースイニシアチブです。

Baseline Protocolを利用することでパブリックなイーサリアムメインネットを常時有効な参照フレームとして使用することができ、複雑でプライベートな組織間ビジネスプロセスの自動化およびDeFiやアセットのトークン化などの拡張性の確保が可能になるとのこと。

これらをバイヤーとサプライヤーの関係に適用すると、注文書の改ざんなどが確認できない、人為的ミスによる誤発注が発生するなどの課題を改善することができるとされている。

このプロジェクトはCONA Servicesが主導し、Baseline Protocolの導入などの技術面にはProvide 、Unibrightの2社のブロックチェーン企業が携わる。2020年第4四半期に同プロジェクトの最初の結果を公表する予定とのことだ。

編集部のコメント

CONA Servicesは2016年に設立された北米のコカ・コーラのボトリング事業のためのITプラットフォーム「CONA」を提供する企業です。同社はコカ・コーラの生産に関与するボトラー企業に対してデジタルビジネスのイノベーションを可能にするサービスを提供し、ボトラー企業が最適な運営を行えるよう支援しています。

「CONA 」には2019年11月に、ドイツのSAP(エスエーピー)社のBaaS上で動作するHyperledger Fabricをベースとしたブロックチェーンプラットフォームを採用しています。このプロジェクトは70のボトラー企業の企業間の関係を合理化することを目的として行われ、結果的にボトラー企業の複雑なサプライチェーンの透明性と効率性を高めることが証明されました。

Baseline Protocolはゼロ知識証明などの暗号技術を用いてプライベートな情報を秘匿化しつつイーサリアムのパブリックチェーンを利用できるプロトコルです。このプロトコルにより、企業間の機密性の高い複雑なコラボレーションが、機密データをオンチェーンに残すことなく可能になります。Baseline Protocolは2020年3月に立ち上げられたプロジェクトであり、会計事務所EY、ConsenSys、Microsoft、Unibrightを含む14の企業が同プロジェクトの開発団体に属しています。

コメント:小俣淳平(あたらしい経済)

(images:iStock/antoniokhr・liuzishan・Lidiia-Moor)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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