ソラミツCBDC、バングラデシュでデジタル通貨活用を調査。農家への環境価値還元で

農業の脱炭素化と金融サービスへのアクセス向上を目指す

ブロックチェーンを活用した中央銀行デジタル通貨(CBDC)システムなどの開発を手がけるソラミツCBDCが、バングラデシュでCBDCを含むデジタル通貨の活用可能性に関する現地調査を開始した。ソラミツが10月27日に発表した。

今回の調査は、農業の脱炭素化と、金融サービスへのアクセス向上を図る「金融包摂」の推進に向けたもの。東京都の「グローバルサウスのGX促進プロジェクト」に採択された両備システムズとの共同事業を基盤に、農家へのデジタル通貨による環境価値還元の仕組みを検討するという。

同事業で活用する「AWD農法」は、水田に水を張る期間と乾かす期間を交互に設け、稲作に伴うメタンの排出を抑える水管理手法だ。両社は、同農法による排出削減量の計測・認証、カーボンクレジットの創出、デジタル通貨を活用した参加農家への還元を組み合わせたモデルを検討する。

ソラミツCBDCは、現地の制度や既存の金融・決済サービス、農家の利用環境などを調査する。農家が還元された資金を日常生活や営農活動で利用できる仕組みの構築を目指すとのことだ。

今後は調査結果を踏まえ、既存サービスとの連携可能性や制度・運用上の要件を整理し、実証に向けた具体的な計画を検討する。活用するデジタル通貨の種類や運用方法については、現地の制度や関係機関との協議を踏まえて検討するとしている。

なお両社は、同共同事業の採択を6月8日に発表していた。正式な事業名は「バングラデシュにおけるAWD農法普及による脱炭素化とデジタル通貨による環境価値還元モデル FS・実証プロジェクト」だ。事業全体の実施期間は2028年3月末までで、初期調査・実現可能性調査の結果を踏まえ、実証・事業化段階への移行を検討する計画だ。

両社の6月の発表によると、両備システムズは2025年にバングラデシュで行ったAWD農法の実証で、生産性が20%以上向上し、メタン排出量が約30%削減されたことを確認したという。一方、普及拡大に向けては、水管理の効率化や排出削減量の検証にかかる負担の軽減、農家の継続的な参加を促す経済的インセンティブの設計が課題となっていた。

こうした課題に対応するため、6月に公表した計画では、自動水門や水位計、AI画像解析を組み合わせ、水管理の省力化と精度向上を検証するとされていた。また、水管理や土壌、気象、営農に関するデータを用い、ガスの直接計測に依存せず排出削減量を把握する手法の検討も進める。

環境価値の還元では、ブロックチェーンを用いて還元履歴の透明性を高め、参加農家への確実な価値移転を図る。現金による還元の透明性や確実性、既存の決済手段の手数料などに課題がある現地の状況を踏まえ、デジタル通貨を活用する仕組みを検討するという。

同事業では、ソラミツCBDCが全体の推進やデジタル通貨システムの構築、環境価値の管理・還元を担う。両備システムズは、AWD農法の指導・教育、水管理のデジタル化、農業データ基盤の構築、カーボンクレジット創出に向けたデータ活用を担うとしている。

参考:ソラミツCBDC
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。