テザーCEO、イラン関連のステーブルコイン取引量「94%減」と説明。米上院民主党側の報告に反論

テザーの制裁対応を巡る米上院側の指摘に反論

米ドル連動型ステーブルコイン「USDT」を発行するテザー(Tether)の最高経営責任者(CEO)パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏が、同社の取り組みによりイラン関連のステーブルコイン取引量が94%減少したと、10月20日(日本時間)に自身のXで説明した。

今回の投稿は、米上院常設調査小委員会(PSI)の民主党筆頭委員であるリチャード・ブルーメンソール(Richard Blumenthal)議員らが公表した、テザーの制裁対応を問題視する報告書に反論したものだ。

なおテザーは、制裁回避やテロ資金供与などにUSDTが使われるのを防ぐため、当局と連携して関連アドレス内のUSDTを凍結する対応を行っている。凍結により、当該アドレスからのUSDTの移転を制限する。

アルドイノ氏によると、2023年以降の対応では、テザーが対象アドレスを凍結した日は、米財務省外国資産管理局(OFAC)やイスラエルの国家テロ資金対策局(NBCTF)が正式に制裁指定した日より、平均4週間早かったという。同氏は、ブルーメンソール議員側の分析が、こうした対応を見落としていると主張した。ただし、比較対象としたアドレスの件数や、平均値の算出方法は示されていない。 また同氏は、対象アドレスの凍結時期と、ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)によるラベル付けの時期を比較すると、99%の事例でテザーの凍結が先行していたと説明した。ただし、平均4週間という期間や99%という割合の算定対象となったアドレスの範囲・件数、具体的な算出方法は示されていない。

同氏は、こうした凍結などの対応により「イラン関連のステーブルコイン取引量が94%減少した」と説明している。ただし、この減少率の比較期間や算出方法は示していない。また、USDTのみを集計した数値かどうかも明示していない。

反論の対象となった報告書「テロリズムとの結び付き:暗号資産とイランのシャドーバンキング・ネットワーク(Tethered to Terrorism: Crypto & Iran’s Shadow Banking Network)」は、ブルーメンソール議員と同小委員会の民主党側スタッフが9月28日に公表したものだ。同報告書では、イランやその関連組織との関係で制裁や差し押さえの対象となった846の暗号資産(仮想通貨)ウォレットを分析している。

報告書によると、分析対象ウォレットの84%は、専ら、またはほぼ専らUSDTで取引していたという。報告書は、テザーが2024年以前に対象ウォレットを包括的かつ一貫して凍結しておらず、その後も明らかに不正とみられるウォレットの遮断が不十分だと指摘した。

ブルーメンソール議員は同日、米財務省と米司法省に対し、テザーのマネーロンダリング対策や制裁順守の状況を調査するよう求めている。

一方、テザーは9月28日の公式発表で、米当局がイラン中央銀行やイランの制裁回避ネットワークと関連すると特定したウォレットについて、2026年中に約5億5,000万ドル相当のUSDT凍結を支援したと説明していた。同社は、米国を含む各国の法執行機関との連携を通じ、不正資金の特定や凍結に対応しているとしている。

参考:米上院民主党側の報告書
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。