NyxのAI活用事業、富山県南砺市の補助対象に。ふるさと納税で井波彫刻の販路開拓へ

AIで井波彫刻の新たな用途やデザインを検証

イーサリアム(Ethereum)などの研究に取り組む一般社団法人ニックス・ファウンデーション(Nyx Foundation:以下、Nyx)が、井波彫刻の販路開拓に向けた実証事業の採択を10月16日に発表した。

井波彫刻は、富山県南砺市の井波地域に伝わる木彫刻の伝統工芸だ。同事業は、南砺市の「ふるさと納税等の寄附を活用した補助金」の対象となる。

事業名は「デジタル技術を活用した井波地域文化資源の魅力発信及び販路開拓実証事業」。NyxはAIを活用し、井波彫刻の新たな用途やデザインを探り、職人への制作依頼や販路の開拓につなげる。

同法人によると、井波彫刻は建築様式や生活様式の変化に伴う需要の減少や、後継者不足といった課題を抱えている。また、職人がデザインから納品までを担うため、彫刻以外の作業にも時間や労力がかかるという。

今回の実証では、Nyxが研究を進めてきた「3Dバイブコーディング」を活用する。これは、文章による指示をもとにAIが3Dモデルを生成し、その形状を確認しながら修正を重ねる技術だ。現代のインテリアや楽器、仏具、建築空間などを対象に、井波彫刻の技術を生かせる用途を検討する。

具体的には、用途やデザインの案を3Dモデルとして可視化し、SNSで発信して関心や反応を分析する。反応のよかった案について職人と制作上の課題や実現可能性を検討し、実際の作品づくりにつなげる計画だ。

実現可能性のある作品はNyxが購入し、制作過程を含めて発信する。需要があれば翌年度の商品化も検討するという。また、3Dモデル生成に用いた実装やプロンプトはオープンソースとして公開し、動画として発信するまでの手順や実証結果も共有する予定だ。

なおNyxは、イーサリアムやブロックチェーンに特化した日本の私設研究機関だ。プログラムが定められた条件を満たすかを数学的に確かめる「形式検証」とセキュリティを専門とし、ブロックチェーンの安全性向上に取り組んでいる。

同法人が開発するAI監査システム「スペカ(SPECA)」は、イーサリアム財団(Ethereum Foundation)の研究助成金に採択されている。また、イーサリアムの次世代クライアント「ベリティ(Verity)」の開発や、アライドアーキテクツと連携したDeFi(分散型金融)の安全性評価にも取り組んでいる。

Nyxは今年2月、南砺市に研究所「Nanto」を建設する構想を発表していた。今回の実証は、地域で技術を研究し、その成果の社会実装につなげる同構想を具体化する最初の取り組みと位置付けられている。

同事業では、個人向けのふるさと納税と企業版ふるさと納税を通じて寄付を受け付けている。南砺市の公表資料によると、概算事業費は1億円。企業版の募集期限は2027年3月31日、個人向けは同年1月13日となっている。

参考:プレスリリース
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。