DRWとマレックスがOTCスワップ取引を実行、カントン上で初の事例に

S&P DJIの指数をKaikoがトークン化

トレーディング企業のDRWと金融サービス企業のマレックス(Marex)が、ブロックチェーン「カントンネットワーク(Canton Network)」上で店頭(OTC)スワップ取引を実行した。指数提供会社のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P Dow Jones Indices:S&P DJI)らが10月13日に発表した。

S&P DJIらによると、カントンネットワーク上でOTCスワップ取引が実行されたのは、今回が初めてだという。

両社は、カントン上に構築された機関投資家向けデリバティブ(金融派生商品)取引基盤「デリブネックス(Derivnex)」を利用したという。今回の取引では、DRWが取引相手、マレックスがスワップの提供者となった。

今回の取引は、S&P DJIの「iBoxx USD Liquid Investment Grade Index」を参照するトータルリターンスワップだ。同指数は、先進国の米ドル建て投資適格社債の運用成果を測る指数である。

OTCスワップは、当事者同士が条件を決める相対取引だ。取引当事者は、対象資産を直接保有せずに、資産や指数に連動した取引やリスク管理を行える。

同指数のカントン上でのトークン化は、暗号資産データ企業のカイコ(Kaiko)が行った。同社は、取引の評価に使うS&P DJIの署名付き公式指数値も配信したとのこと。

今回のトークンは、指数データとアクセス権限、利用ルールを組み合わせたものだ。利用を許可された参加者が指数データを利用でき、S&P DJIはライセンスや知的財産権の管理を維持できるという。S&P DJIらは今回の取引を、分散型台帳上で完全にトークン化された指数を参照する初のOTCデリバティブ取引としている。

従来のOTCスワップの管理では、通常、複数のシステムや当事者間の連絡、継続的なデータ照合が必要になる。今回の取引は、取引条件を含むスマートコントラクトとしてカントン上に記録された。DRWとマレックスは、同期された共通の記録を使い、取引の評価や契約期間中の処理を管理できるという。

今後は、デリブネックス上で管理するポジションと、カントン上のデジタル現金・担保を連携させる機能が想定されている。同機能では、証拠金や担保、契約に基づく支払いを、取引と同じ基盤上で移動できるようにするという。

なおカントンネットワークは、デジタルアセット(Digital Asset)が開発した、金融機関向けのパブリックなレイヤー1ブロックチェーンだ。同ネットワークでは、各アプリケーションの参加権限や取引情報の共有範囲を設定できる。金融機関は、取引情報の機密性を保ちながら、トークン化資産の発行・取引や金融アプリケーション間の連携を行える。

同ネットワークのネイティブトークンは、暗号資産(仮想通貨)「カントンコイン(Canton Coin:CC)」だ。同トークンは、ネットワークの公開インフラの利用手数料や、アプリケーション開発者・利用者・インフラ運営者への報酬に使われる。

参考:S&P DJI・カントン
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。