メタプラネット、ユーロ円建て転換社債を初発行へ。BTC担保借入返済と自社株買いに充当

BTC担保借入の返済で財務構造を見直し

ビットコイン(BTC)トレジャリー戦略を進める東証スタンダード上場企業メタプラネット(Metaplanet)が、総額520億円のゼロ・クーポン2031年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行すると10月13日に発表した。同社は10月29日に社債を発行し、手取金約519億円のうち236億円をビットコイン担保借入金の返済に、最大283億円を自己株式の取得に充当する予定だ。

今回発行が予定される転換社債は、メタプラネットにとって初のユーロ円建のものとなる。転換社債とは、一定の条件で発行企業の株式に転換できる権利が付いた社債のことだ。また、ゼロ・クーポンとは利息の支払いがないことを意味する。今回の社債は無担保で発行され、償還期限は2031年10月29日となる。募集は欧州およびアジアを中心とする海外市場で行われ、日本国内と米国では実施されない。

メタプラネットは、保有するビットコインを担保に資金を借り入れており、融資枠の上限は8億ドル(約1,268億円)となっている。9月30日時点の借入残高は約6億5,000万ドル(約1,030億円)で、保有ビットコインの時価純資産(BTCNAV)に対する借入残高の割合は17.7%だった。この割合は、同社が10月5日に見直した資本配分方針で目安とする10%未満を上回っている。

こうした状況を踏まえ、メタプラネットは今回の調達資金を使って、ビットコイン担保付きの有利子借入金の一部を返済する方針だ。これにより、担保として差し入れているビットコインの一部を解放し、金利負担の軽減を図る。なお、社債の発行によって負債総額は増加するものの、有利子の担保付き借入金を無担保かつ無利息の長期資金に置き換えることで、財務上の柔軟性を高める狙いがある。

自社株買いと転換社債の発行条件

一方、メタプラネットは、同社株式が保有ビットコインの価値に対して割安な水準にあるとの認識から、自己株式の取得を進める方針だ。自己株式を取得して自己株式を除く株式数を減らすことで、1株当たりのビットコイン保有量を増やす狙いがある。

具体的には、同社は10月13日、取得総額600億円、取得株数2億株を上限とする自己株式取得枠の設定を発表した。取得期間は10月14日から2027年10月13日までとなる。この取得枠のうち、今回の社債による調達資金から最大283億円を充当する計画だ。

自己株式取得については、10月14日に東京証券取引所の立会市場外取引「ToSTNeT-3」を通じて7,398万1,400株を約193.1億円で取得した。同社は当初、今回の社債による調達資金のうち最大253億円を同取引に充当する計画を示していた。社債の払込期日より前に取得するため、当初は手元資金や必要に応じた借入金で賄い、社債の調達資金で補填または返済する予定だ。また、残る最大30億円は追加の市場買付けに充てる。取得に使用しなかった資金は、その後の自己株式取得またはビットコイン担保借入金の返済に充当する方針だ。

また、メタプラネットは10月14日、今回の転換社債の当初転換価額を339円に決定したと発表した。転換価額とは、社債を株式に転換する際の1株当たりの価格を指す。339円は10月13日の同社株式の終値261円を約29.9%上回る水準となる。一方、将来的に社債が株式へ転換された場合には、発行済み株式数が増加し、既存株主の持分割合が低下する可能性がある。すべての社債が当初転換価額で転換された場合の潜在株式数は、9月30日時点の自己株式を除く発行済み普通株式総数の約11.24%に相当する。

メタプラネットは、社債発行と自己株式取得を組み合わせることで、転換社債の投資家によるヘッジ取引が株式需給に与える短期的な影響を緩和し、発行条件の改善につなげる考えだ。転換社債の投資家は、将来の株価変動によるリスクを抑えるため、株式を借りて売却する取引を行う場合がある。

これに関連して、同社の代表執行役CEOを務めるサイモン・ゲロヴィッチ(Simon Gerovich)氏は10月14日、自身のXアカウントで、保有するメタプラネット株式を最大5,500万株貸し出す方針について説明した。会社の開示によると、同氏が自身の資産管理会社に株式を貸し付け、同社を通じて転換社債の幹事引受会社などに年率0.75%で貸し出す仕組みとなる。

ゲロヴィッチ氏によると、今回の貸株は、投資家がヘッジ取引に必要な株式を低コストで借りられるようにするための措置だ。これにより、社債の発行条件を改善し、資金調達コストと既存株主の持分の希薄化を抑える狙いがある。なお、同氏は、この株式貸借について、自身が審査・承認に参加しない形で独立取締役による承認を受けたと説明している。

参考:公式声明
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。