ザクラ開発チーム、Zcashへの耐量子署名導入を1月に目指す

公開型のトランスペアレント取引が対象

暗号資産(仮想通貨)「ジーキャッシュ(Zcash:ZEC)」のフルノード用ソフトウェア「ザクラ(Zakura)」の開発チームが、耐量子署名を検証する機能の導入を来年1月に目指す計画を明らかにした。同チームが10月8日に公式Xで紹介した技術ブログに、同計画が記載されている。

今回の対象は、取引内容がブロックチェーン上で公開される「トランスペアレント取引」だ。ザクラのチームは、ハッシュベースの耐量子署名を検証する「オペコード(実行命令)」の追加を目指す。ただし、同ブログにはネットワークでの具体的な有効化日は示されていない。

ハッシュベースの署名は、暗号学的なハッシュ関数を利用する電子署名方式だ。同方式は、現在広く使われている楕円曲線暗号とは異なる仕組みで、量子コンピューターによる攻撃への耐性を備えるとされる。ザクラのチームは、同方式の例として「WOTS」を挙げている。

Zcashの標準的なトランスペアレントアドレスでは、資金を使用する際に公開鍵が開示される。残りの資金を公開鍵がまだ開示されていない新しいアドレスへ移せば、公開鍵の露出を減らせる。ただし、この対策はハッシュ関数の安全性が保たれることを前提とする。ザクラのチームは、このアドレスの使い分けとハッシュベースの署名を組み合わせる構想を示した。

一方、ウォレットが複数のアドレスの残高や取引履歴をサーバーに問い合わせると、サーバー側はそれらが同じ利用者のアドレスだと関連付けられる。この問題に対応するため、ザクラのチームは、照会対象をサーバーに明かさずに情報を取得する「PIR(Private Information Retrieval)」の仕組みも開発している。

同ブログによると、PIRの実験的な実装は、ジーキャッシュウォレット「バイザー(Vizor)」の設定で「プライベート・クエリーズ(Private queries)」を有効にすると試せるという。PIRが保護するのは残高や履歴の照会に関する情報で、トランスペアレント取引自体は引き続きブロックチェーン上で公開される。

今回の発表に先立ち、イーサリアム財団(Ethereum Foundation)の研究者ジャスティン・ドレイク(Justin Drake)氏は10月7日、AIによる数学研究の進歩で、暗号資産の電子署名を支える暗号技術が想定より早く破られる可能性を自身のXで警告していた。同氏は「バンカーモード」への備えとして、公開鍵がまだ開示されていない新しいアドレスへの段階的な資金移動を提案していた。

参考:ザクラ公式ブログ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。