英政府、初の「デジタルネイティブ国債」主幹事に6社を選定

2027年1〜3月期に試験発行へ

英財務省(HM Treasury)が、同国初となるデジタルネイティブ国債「デジタル・ギルト・インストゥルメント(DIGIT)」の試験発行に向け、共同主幹事(ジョイント・リード・マネージャー)6社を選定した。英財務省が10月6日に発表した。

選定されたのは、バークレイズ(Barclays)、HSBC、ロイズ(Lloyds)、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)、ナットウエスト(NatWest)、RBCキャピタル・マーケッツ(RBC Capital Markets)の6社。

DIGITの試験発行は2027年第1四半期(1〜3月)に実施される予定だ。

今回の選定は、英財務省で経済担当閣外相およびシティ担当相を務めるルーシー・リグビー(Lucy Rigby)氏が、「UK Digital Assets Week」での基調講演において明らかにした。

6社は競争入札による調達プロセスを通じて選定された。英財務省によると、透明かつ客観的な基準に基づいて評価したという。今回の主幹事選定により調達プロセスは完了し、今後は投資家との対話を進められる段階に入ったとしている。

主幹事各社は、引き受け業務や投資家対応、発行日におけるDIGITの販売など、従来型の国債発行における主幹事業務を担う。

英財務省は、6社が従来の国債発行業務に加え、デジタル市場についても専門知識を持つ点を評価したとしている。

DIGITの試験発行では、分散型台帳技術(DLT)を英国債の発行を含むライフサイクル全体にどのように活用できるかを検証する。

発行されるDIGITは償還までの期間が短い国債となり、イングランド銀行(BOE)と英金融行為規制機構(FCA)が共同運営する「デジタル証券サンドボックス(Digital Securities Sandbox:DSS)」内のプラットフォーム上で発行される。

また決済はオンチェーンで行われる予定で、英国政府の通常の国債発行計画とは切り離して実施される。

英財務省はDIGITの目的として、英国債の発行プロセスにDLTを適用する方法を政府自ら検証すること、および英国内におけるDLTインフラの整備と金融市場全体でのDLT導入を促進することを挙げている。

DIGITを巡っては今年2月、HSBCのデジタル証券プラットフォーム「HSBC Orion」が、同プロジェクトのDLTプラットフォーム提供者に選定された。

また7月には、HSBCとロンドン証券取引所グループ(LSEG)が、両社のデジタル証券保管機関(DSD)間を接続するための覚書を締結したことが公表された。

この接続では、HSBC Orionを発行者側のDSD、LSEG側のインフラを投資家側のDSDとして連携することで、投資家が複数のインフラを通じてDIGITへアクセスできる環境の構築を目指している。

またリグビー氏は今回の発表に際し、デジタル化は英国がデジタル資産分野における世界的なハブとなるための中核的な取り組みであり、デジタル国債の発行はその重要な柱になるとの考えを示した。

さらに同氏は、今回の主幹事選定について、2027年初頭に予定するDIGIT発行に向けた重要な一歩だと述べている。

なお同氏は「UK Digital Assets Week」での講演において、DIGITをHSBC Orion上で発行する方針に加え、ロンドン証券取引所(LSE)のメイン市場へDIGITを上場させる意向も示した。

実現すれば、DIGITは同市場に上場する最初のデジタル資産になる見通しだ。

英政府は現在、ホールセール金融市場のデジタル化を政府戦略の一環として進めている。

各国・地域の金融センターでもDLTを活用した証券市場インフラの整備が進むなか、英国政府は早期に実証を進めることで、同国の金融サービス産業がデジタル資産市場の成長を取り込める環境を整備していく考えだ。

参考:発表
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者