ステーブルコインやトークン化証券向けにウォレットなど4機能を提供
韓国LGグループのITサービス企業LG CNSが、金融機関向けブロックチェーン基盤「KITL」の提供を開始したと10月6日に発表した。
KITLは、銀行、証券会社、カード会社、決済会社などが、ステーブルコインやトークン化証券、現実資産(RWA)に関連するデジタル資産サービスを構築するための基盤だ。名称は「Keystone of Institutional Trust Landscape」の略となっている。
同基盤が提供する主要機能は、電子ウォレット、取引処理、手数料の代理負担、取引履歴の収集の4つだ。
電子ウォレットでは、顧客の資産保管や送金時の電子署名に対応する。取引処理では、金融機関のシステムから要求された取引がブロックチェーン上で処理されるまでの状態を追跡し、結果を返すという。
手数料の代理負担では、銀行やカード会社などのサービス提供者が、取り決めに応じてブロックチェーンの利用手数料(ガス代)を分担する。また、取引履歴の収集では、金融機関に関連する取引記録をブロックチェーンから取り込み、精算や会計、監査などに活用できるとのこと。
KITLは、複数のデジタル資産やブロックチェーンで共通の機能を利用できるよう設計されている。金融機関が取り扱う資産を増やす場合や、イーサリアム(Ethereum)に加えてソラナ(Solana)などのネットワークを追加する場合も、既存の基盤を活用できるという。
LG CNSは、KITLを軸とした協業に向け、米ドル建てステーブルコイン「USDC」を発行する米サークル(Circle)の他、トークン化証券の発行・管理基盤を提供するセキュリタイズ(Securitize)、金融取引向けブロックチェーン「カントンネットワーク」を支援するカントン財団(Canton Foundation)、ブロックチェーンの取引データ分析を手掛けるチェイナリシス(Chainalysis)、ブロックチェーンへの外部データ提供やネットワーク間の相互接続を支援するチェーンリンク(Chainlink)の5社・団体とそれぞれ覚書(MOU)を締結した。
サークルとは、韓国の技術・規制環境に適したデジタル資産基盤やソリューションの開発で協力する。セキュリタイズとは、金融機関のファンドや債券などを韓国の規制に沿ってトークン化するソリューションを共同開発するという。
またカントン財団とは、韓国の金融機関がカントンネットワークに参加するための基盤を構築する。チェイナリシスとは、韓国の規制要件に沿って、犯罪関連資金が金融機関のウォレットに流入するのを検知・遮断する取引監視機能で協力するという。チェーンリンクとは、KITLと同社サービスの連携を進めるとのこと。
なおLG CNSによると、KITLのウォレットには、韓国銀行のデジタル通貨実証事業「プロジェクト漢江」で用いた技術が活用されているという。同社は、7行と約8万人の顧客が参加し、コンビニやスーパーなどでの実決済も行われた環境で技術を検証したと説明している。この技術をパブリックブロックチェーンにも拡張したという。
またセキュリタイズ側の同日発表では、韓国と世界の金融市場をつなぐ基盤の構築も検討対象としている。この基盤では、トークン化証券やステーブルコインの流通、取引執行、精算を24時間365日支援することを目指すという。ただし、協業に基づく製品やサービスの提供は、適用法令や必要な規制当局の承認、両社の内部承認などを条件としている。
Securitize and LG CNS are partnering to advance tokenized assets in South Korea. Through an MOU, we’ll pair our experience building regulated tokenization infrastructure with LG CNS’s technology and relationships across Korea’s financial sector. https://t.co/3DTy8ggCMv
— Securitize (@Securitize) October 6, 2026
参考:LG CNS・LGグループ・セキュリタイズ
画像:PIXTA