ロビンフッドチェーンで53件のトークンローンチに同一オペレーション関与か、約29億円を抽出との分析

53件のトークンローンチを同一オペレーションに関連付け

オンチェーンアナリストのワズ(Wazz)氏が、ロビンフッド・チェーン(Robinhood Chain)上のトークンローンチについての調査結果を9月27日に自身のXアカウントで公表した。同氏によると、今年7月のロビンフッド・チェーンのメインネットローンチ後、約2カ月間に行われた53件のトークンローンチが、同一のオペレーションに関連しているとのことだ。

ワズ氏は、これら53件のローンチから少なくとも1,843万ドル(約29億円)が抽出されたと分析している。同氏が直接関連付けたローンチのみを集計した金額で、実際の規模はさらに大きい可能性があるとのことだ。

ロビンフッド・チェーンは、米金融サービス企業ロビンフッド・マーケッツ(Robinhood Markets)が展開するイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2(L2)ネットワークだ。アービトラム(Arbitrum)の技術を用いて構築され、今年7月1日にパブリックメインネットが稼働した。ロビンフッドは同チェーンを、株式などのトークン化された現実資産(RWA)を含む金融サービス向けのパーミッションレスなブロックチェーンとして位置付けている。

ワズ氏によると、調査対象となったローンチのほぼすべてで、トークン供給量の70%以上がローンチ直後に取得されていた。この取得には70〜200のウォレットが使われたとのことだ。多くのトークンは、ロビンフッド・チェーン上のトークンローンチパッド「ポンズ(Pons)」の「ポンズV2(Pons V2)」を利用して発行されていた。

ポンズV2では、ボンディングカーブと呼ばれる仕組みで新規トークンを販売する。購入が進むほど価格が上昇し、初期販売が完了すると、その後の取引はDEX(分散型取引所)ユニスワップv4(Uniswap v4)の流動性プールへ移行する。

またポンズV2では、「スナイピング」を抑える仕組みが導入されている。スナイピングとは、トークンのローンチ直後にボットなどを利用して大量のトークンを先回りして取得する行為だ。ローンチ開始直後の購入には99%の「スナイプ税(snipe tax)」が課され、約5秒かけて0%まで低下する。一方、トークン作成者はチームが複数のウォレットから初期購入する場合などのため、最大32のアドレスをスナイプ税の対象外に設定できる。

暗号資産(仮想通貨)メディア「ザ・ブロック(The Block)」は、ワズ氏が示したポンズV2上の10件のローンチをオンチェーンデータで確認した。このうち8月下旬以降の9件では、トークン作成者が15〜25のウォレットをスナイプ税の対象外に設定していた。その1〜3ブロック後には、1つのトランザクションを通じて対象ウォレットが一斉にトークンを購入していた。作成者と対象ウォレットは、初期取引後にトークン供給量の82〜86%を保有していたとのことだ。

例えばDEEDでは、ローンチから1秒後に関連ウォレットによる売却が始まった。ザ・ブロックが確認したウォレットは、ユニスワップの流動性プールへの売却で130.75ETHを受け取った。またDEEDの作成者は、ポンズの手数料を管理するコントラクトから69.06ETHの作成者手数料を引き出していた。

ワズ氏は、53件を同一のオペレーションに関連付けた根拠として、ローンチ間の資金の流れなどを挙げている。53件のうち45件では、あるローンチで得られた資金が、次のローンチの資金供給に使われるウォレットへ送られていたとのことだ。さらに4件では同じ秘密鍵が異なるローンチの資金供給用トランザクションに署名していた。残る4件では、異なるローンチの収益が共通のウォレットへ送られていたとのことだ。

具体例として、DRAFTに関連する98のウォレットから合計179.88ETHが1つのウォレットへ集められ、その後複数のウォレットを経由して20ETHがDEEDのローンチに関係するウォレットへ送られた。ザ・ブロックもこの資金移動をオンチェーンデータで確認している。

ザ・ブロックによると、20ETHが送られた16秒後、15.98ETHが50のアドレスへ一括送金された。送金先にはDEEDの作成者やローンチ直後にトークンを購入するウォレットなどが含まれていた。その約40分後にDEEDがローンチされ、作成者とスナイプ税を免除されたウォレットは、初期購入後に供給量の86%を保有していたとのことだ。

ワズ氏は、同一名称のトークンを複数回ローンチする手法も確認したとしている。PINK、CRUMBS、DEEDでは、それぞれ3回の同名ローンチが確認されている。同氏は、実際のローンチ前に同名のトークンを公開して購入者から資金を得た後、正式なコントラクトアドレスを発表する手法が使われていたと説明している。

ワズ氏の集計では、CRUMBSから312万ドル(約4.9億円)、LEGSから290万ドル(約4.6億円)、PINKから144万ドル(約2.3億円)が抽出された。同氏は今回の53件とは直接関連付けられないものの、ほかにも少なくとも2つの連続的なトークンローンチを行うオペレーションを確認したとしている。

なおザ・ブロックは、53件から合計1,843万ドルが抽出されたとの集計については、独自に再現していない。

参考:ザ・ブロック
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。