ソラナ、トランザクションサイズ上限が約3.3倍の4096バイトに拡大、「Transaction V1」稼働

ソラナのトランザクションサイズが約3.3倍に拡大

レイヤー1ブロックチェーン「ソラナ(Solana)」のメインネットで、新たなトランザクション形式「トランザクションV1(Transaction V1)」が稼働した。これにより、1件のトランザクションに含められるデータ量の上限が、従来の1,232バイトから4,096バイトへ拡大した。ソラナを支援するソラナ財団(Solana Foundation)が9月15日に発表した。

トランザクションV1は、ソラナで取引やスマートコントラクトの実行内容などを記述するトランザクション形式の新バージョンだ。既存の「legacy」と「v0」のトランザクション形式も引き続き利用でき、V1の利用は任意となる。

ソラナではこれまで、1件のトランザクションサイズが1,232バイトに制限されていた。このため、複雑な処理に必要なデータを1件に収められず、複数のトランザクションやバンドルに分ける必要が生じる場合があった。

V1では上限が4,096バイトへ拡大したことで、こうした処理を1件にまとめやすくなった。複数の処理を1件にまとめれば、すべての処理を一括して成功または失敗させる「アトミック」な実行が可能になる。ソラナ財団は、署名にかかる費用を減らし、複数回必要だった確認を1回にできると説明している。

具体的な用途として、ゼロ知識証明(ZK Proof)、大規模なマルチシグ、BLS署名、コンフィデンシャル・トランスファー(Confidential Transfers)などが挙げられている。これらは暗号学的な証明や複数の署名などによって、通常の送金より多くのデータが必要になる場合がある。

ゼロ知識証明は、元となる情報そのものを明らかにせず、その情報が正しいことを証明する暗号技術だ。マルチシグは、資産の移動などに複数の秘密鍵による承認を必要とする仕組みで、企業や組織による暗号資産(仮想通貨)の管理などにも利用される。

V1ではトランザクションの構造も変更

今回のトランザクションサイズ拡大は、ソラナの改善提案「SIMD-0296」で定義された。また、新たなトランザクション形式V1は「SIMD-0385」で導入された。V1は9月15日、メインネットのエポック1035開始時に有効化された。テストネットとデブネットでも有効になっている。

従来の1,232バイトという上限は、ソラナが初期に採用したネットワーク設計に由来する。その後ソラナでは2022年、トランザクションをネットワークへ取り込む通信プロトコルとして「QUIC」を導入した。QUICには同様の最大ストリームサイズの制限がないため、従来より大きなトランザクションを扱えるようになった。

一方、トランザクションを大きくすると、ネットワークやバリデーターの負荷も増える。4,096バイトという上限は、想定される用途や既存の利用状況、バリデーターのメモリ処理などを考慮して設定された。SIMD-0296では、4,096バイトへの拡大により、従来バンドルを利用していた開発者の多くがV1へ移行できると見込んでいる。

V1ではサイズ拡大に加え、ネットワークがトランザクションを処理するために必要な情報を読み取りやすくする変更も導入された。計算量の上限や優先手数料などの設定を、従来の命令ではなくトランザクションの設定情報として記録する。これにより、ネットワーク側はトランザクション内の命令を順番に解析する前に必要な情報を確認できる。

またV1では、従来のv0でデータ容量を節約するために利用されていた「アドレス・ルックアップ・テーブル(Address Lookup Table:ALT)」を利用しない。ALTは、トランザクションで使用するアカウントのアドレスを短い参照情報に置き換える仕組みだ。V1ではサイズ上限の拡大に伴い、最大64のアカウントアドレスをトランザクションへ直接記述できる。

なお、V1を利用したトランザクションの送信は任意だが、ブロックチェーン上の取引データを取得・分析するサービスなどは、V1形式のデータを読み取れるようシステム側で対応する必要がある。

参考:ソラナ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。