ハイパーリキッド政策団体、SECとCFTCにパーペチュアルの統一分類を提言

パーペチュアルの規制分類統一をSECとCFTCへ提言

ハイパーリキッド・ポリシー・センター(Hyperliquid Policy Center:HPC)が、パーペチュアル(無期限先物)の規制上の分類について、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)へ統一的な枠組みを採用するよう求めるコメントレターを8月24日に提出した。

今回のコメントレターは、SECとCFTCが6月に開始した、「スワップ」と「証券ベース・スワップ」の定義の明確化などに関する共同意見募集への回答として提出された。HPCは、パーペチュアルについて、契約の特徴と取引方法に基づいて規制上の分類を決める統一的な基準を設けるよう両機関へ求めた。

パーペチュアルは、暗号資産市場で広く利用されているデリバティブ商品だ。一般的な先物とは異なり固定された満期日を持たず、「ファンディングレート(資金調達率)」と呼ばれる定期的な支払いを通じて、契約価格と参照資産の価格との乖離を調整する。

米国の商品関連法制では、デリバティブは主に「先物(Futures)」と「スワップ(Swaps)」に分類される。両者は経済的に似た性質を持つ場合がある一方、商品の市場への提供方法や取引できる参加者、取引所や仲介業者に適用される規制が異なる。

さらに株式などの証券を参照するデリバティブでは、商品取引所法(CEA)と連邦証券法の双方が関係する場合がある。この場合、デリバティブ市場を監督するCFTCと、証券市場を監督するSECの間で管轄が分かれるほか、商品によっては両機関の監督対象となる。

HPCは、パーペチュアルの規制上の分類を巡って米国では不確実性が残っていると指摘した。過去の執行事例では、類似する契約がスワップとして分類されたケースと、先物に近い商品として扱われたケースがあり、市場参加者が商品をどの規制枠組みで提供すべきか判断しにくい状況にあるとのことだ。

HPCは、この問題を解決するため、パーペチュアルが参照する資産ではなく、契約そのものの特徴と取引方法に基づいて先物とスワップのどちらに該当するかを判断すべきだと提言した。つまり、まず契約の特徴から先物とスワップのどちらに該当するかを判断し、そのうえで参照資産に応じて監督当局や適用する規制を決める考え方だ。

具体的には、ビットコイン(BTC)、原油、個別株など参照資産が異なっていても、同じ特徴を持つパーペチュアルであれば同じ基準で先物またはスワップに分類することを求めている。一方、参照資産の種類は、その商品をSECとCFTCのどちらが監督するかや、どのような商品レベルの規制を適用するかを決める際に考慮すべきとの考えだ。

HPCは、パーペチュアルには、契約条件の標準化や契約の代替可能性、将来に価値が設定される性質、反対売買によるポジションの解消など、裁判所や規制当局が従来から先物の特徴としてきた性質があると説明した。

一方、一般的な先物とパーペチュアルの大きな違いは、固定された満期日の有無にある。HPCは、一般的な先物では満期が近づくことで契約価格が参照資産の価格へ収束する一方、パーペチュアルではファンディングレートによって同様の価格調整が継続的に行われると説明した。このため、固定された満期の有無だけで先物かどうかを判断すべきではないとの考えを示している。

株式パーペチュアルは「証券先物」としての整理を提案

HPCは今回、従来から先物とみなされてきた特徴を備える現金決済型の株式パーペチュアルについて、「証券先物(Security Future)」として上場できるとの考えを示した。

証券先物は、個別株などの証券を参照する先物商品で、SECとCFTCの双方が監督する商品カテゴリーだ。SECに登録する証券取引所とCFTCに登録する先物取引所は、一定の登録手続きを通じて証券先物を上場できる。

HPCは、証券先物として株式パーペチュアルを整理することで、証券取引所と先物取引所が同じ商品カテゴリーで競争できると説明した。一方、証券先物の商品カテゴリーは長年にわたり商業的にはほとんど利用されてこなかったため、新たな商品構造に対応できるよう制度を現代化する必要があると指摘した。

具体的にHPCはSECとCFTCへ、4つの対応を求めている。1つ目は、証券先物の定義に従来から認められてきた先物の特徴が含まれ、その特徴を持つ現金決済型の株式パーペチュアルを証券先物として上場できることを確認することだ。

2つ目は、取引所が現在持つ商品上場に関する判断の柔軟性を維持すること。3つ目は、参照資産にかかわらず、同じ特徴を持つパーペチュアルについてSECとCFTCで一貫した分類を採用すること。4つ目は、新たな商品構造へ対応できるよう証券先物の制度を現代化することだ。

HPCは、これらの対応には必ずしも正式な規則制定は必要ないとの考えも示した。解釈指針や政策声明、当局職員による対応によって市場参加者に必要な明確性を提供し、その後の市場経験を踏まえて制度を整備できるとのことだ。

米国では、SECとCFTCがパーペチュアルの規制上の位置付けを明確化する取り組みを進めている。CFTCは今年5月、カルシEX(KalshiEX)が申請したビットコイン現物価格を参照するパーペチュアル「BTCPERP」について、先物契約としての上場を承認した。

またCFTCは同日、今回の承認対象に含まれない資産クラスを参照するパーペチュアルについて、個別に審査することが適切との政策声明を公表した。SECとCFTCはその後6月、デリバティブ商品の定義や解釈に関する共同意見募集を開始。株式を参照する現金決済型パーペチュアルを証券先物として扱えるかなど、新たな商品の規制上の位置付けについて市場参加者から意見を求めている。

HPCは、規制上の明確化によって米国へ取り込める市場の例としてハイパーリキッド(Hyperliquid)を挙げた。同団体によると、原油、金属、外国為替、株価指数、個別株などを含むハイパーリキッドの「HIP-3」市場は、開始後10カ月間の累計名目取引高が4,800億ドルを超えたという。

HPCは、ハイパーリキッドを含むオンチェーン市場について、米国で明確かつ規制されたアクセスの実現を目指す独立系の調査・政策提言組織だ。同団体は直近、株式や株価指数などを参照するパーペチュアルやオンチェーン市場について、SECやCFTCへの政策提言を相次いで行っている。

参考:提言
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。