クラーケン、EEAで米国株取引開始。xストックスと同一アカウントで提供

EEA全域へ株式サービスを拡大

暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)が、欧州経済領域(European Economic Area:EEA)の適格顧客向けに米国株取引を開始した。クラーケンが8月18日に発表した。

暗号資産メディア『ザ・ブロック(The Block)』によると、クラーケンはEEA全域での本格展開に先立ち、ここ数日間、ドイツ、オランダ、フランスで株式サービスを限定的に先行提供していた。8月18日から対象をEEA全域へ拡大したという。

EEAは、EU(欧州連合)加盟国に加え、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを含む単一市場を指す。

今回開始したサービスは、従来型の米国上場株式を対象としている。クラーケンのEEA向け公式ページによると、適格顧客は7,000銘柄を超える米国株式を取引できるとのことだ。

クラーケンは、従来型の米国上場株式と700銘柄を超えるトークン化株式「xストックス(xStocks)」を、同一の規制対象アカウントで提供する唯一の暗号資産ネイティブプラットフォームだと説明している。

xストックスは、米国株やETFを1対1で裏付け資産とするトークン化商品だ。通常の株式とは異なり、保有者に議決権などの株主権は付与されない。

クラーケン親会社ペイワード(Payward)の最高商務責任者(CCO)で、ペイワード・サービシズ(Payward Services)の責任者を務めるマーク・グリーンバーグ(Mark Greenberg)氏は、利用者が同じ原資産へのエクスポージャーを、従来型株式とトークン化株式のどちらで得るかを選べると説明した。これにより、資金移動やプラットフォームの切り替えが不要になるとのこと。

一方、『ザ・ブロック』によると、欧州の暗号資産ブローカーであるビットパンダ(Bitpanda)は米国株取引を提供しているが、トークン化株式には対応していないとみられる。これに対し、クリプト・ドットコム(Crypto.com)やロビンフッド(Robinhood)は欧州でトークン化株式を提供しているものの、従来型の株式取引は提供していないとみられる。

従来型株式はMiFID II認可のキプロス法人が提供

このうち、従来型の米国株取引サービスは、キプロスの投資会社ペイワード・ヨーロッパ・デジタル・ソリューションズ(CY)(Payward Europe Digital Solutions (CY) Limited)が提供する。同社は、キプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission:CySEC)から、EUの第2次金融商品市場指令「ミフィッド2(Markets in Financial Instruments Directive II:MiFID II)」に基づく投資会社としての認可(ライセンス番号342/17)を受けている。ミフィッド2は、EU域内で金融商品の取引や投資サービスに関する共通ルールを定めた制度だ。

一方、xストックスは、ジャージーのバックド・アセッツ(JE)(Backed Assets (JE) Limited)が発行し、バミューダ金融庁(Bermuda Monetary Authority:BMA)からデジタル資産事業の認可を受けたペイワード・デジタル・ソリューションズ(Payward Digital Solutions Ltd.)を通じて適格顧客に提供される。クラーケンによると、xストックスは現地の証券規制当局には登録されていない。

株式取引は、「クラーケン・プロ(Kraken Pro)」のデスクトップ版・モバイル版およびクラーケンのモバイルアプリで利用できる。売買手数料(コミッション)は無料としているが、既存のEEA顧客が自動的に利用できるわけではなく、利用には追加の利用規約への同意が必要とのこと。また、規制・清算手数料やスプレッド、外国為替(FX)コストなどが発生する場合がある。

なおクラーケンは、2025年6月に提供を開始したxストックスについて、累計取引高が380億ドル(約6.1兆円)を超えたとしている。また同社は、従来型株式とトークン化株式を組み合わせたサービスを、今後数カ月でさらに多くの市場へ展開する計画も示している。

参考:クラーケン発表ザ・ブロッククラーケン
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。