ハイパーリキッド・ポリシー・センターとtrade[XYZ]、SECへプレIPO無期限先物の制度整備を提言

プレIPO市場の制度整備をSECへ提言

ハイパーリキッド・ポリシー・センター(Hyperliquid Policy Center:HPC)とXYZ Ltd.(trade[XYZ])が、米証券取引委員会(SEC)へ共同コメントレターを提出した。SECの公式ページには8月18日受領分として掲載されている。両者は、上場前の企業を対象とする「プレIPO・パーペチュアル(Pre-IPO Perpetuals:IPOP、プレIPO無期限契約)」を米国投資家に提供するため、整理が必要な5つの規制論点を提示した。

HPCは、ハイパーリキッド(Hyperliquid)を含むオンチェーン市場について政策提言を行う独立系組織だ。trade[XYZ]は、ハイパーリキッドの市場開設機能「HIP-3」を通じて、株式や株価指数、商品などを参照するパーペチュアル市場を展開している。

今回のレターは、SECのポール・アトキンス(Paul Atkins)委員長が5月26日に開始した、IPO(新規株式公開)プロセスの近代化に関する意見募集への回答だ。意見提出の推奨期限は7月27日だったが、SECは期限後に提出された意見も検討するとされていた。

一般的なIPOでは、発行企業と引受証券会社が、非公開で行われるブックビルディングを通じて投資家の需要を把握し、公開価格(IPO価格)を決定する。HPCとtrade[XYZ]は、この仕組みでは公開市場による継続的な価格形成が行われないため、実際の投資家需要と公開価格に大きな差が生じる場合があると指摘。IPOPは、こうした価格発見を補完する仕組みになり得ると主張している。

IPOPは、上場を控えた未公開企業について、想定される1株当たり価格を参照するパーペチュアル・デリバティブだ。株式の受け渡しは伴わず、米ドル連動ステーブルコイン「USDC」で差金清算される。保有者に株式やIPOの割当、議決権、配当請求権などは付与されず、対象企業の想定株価に対する価格エクスポージャーのみを提供する。

このため、IPOPは特別目的事業体(SPV)などを通じて未公開株式の持分を取得する既存のセカンダリー市場とは異なる。株式や所有権は移転せず、対象企業に対する権利も生じない。

名称上はパーペチュアルだが、IPOPとしての存続期間は限定されている。対象企業が上場すると、通常は上場株式の市場価格を参照するtrade[XYZ]のパーペチュアルへ移行する。一方、上場があらかじめ設定された猶予期間を超えて延期された場合は代替清算が行われ、原則として市場開設から清算までのIPOP価格の時間加重平均が清算価格となる。

trade[XYZ]ではこれまで、セレブラス(Cerebras)、クオンティニュアム(Quantinuum)、スペースX(SpaceX)、SKハイニックス(SK Hynix)、CXMTを対象とする5つのIPOP市場が、一連のライフサイクルを完了したという。

両者によると、このうち米国で上場した4社では、公開価格が株式取引開始前日のIPOP価格を10.8~38.4%下回った。また5市場すべてで、株式の取引開始直前のIPOP価格と実際の初値との乖離率は0.44~7.23%だった。両者は、初期的な5事例に限られるものの、IPOPがIPO価格を検討する際の有用な価格シグナルになり得ると説明している。

米国提供へ5つの規制論点

現在、trade[XYZ]の市場は米国外で運営され、米国人には提供されていない。米国の投資家はIPOP市場で形成された価格を確認できる一方、取引には参加できない状況だ。

今回のコメントレターでは、米国でIPOPを提供するために検討すべき論点として、金融商品の分類、情報開示の枠組み、市場開設の条件、投資家のアクセス、市場の健全性の5項目を提示した。

金融商品の分類については、株式を参照するパーペチュアルを「証券先物商品(Security Futures Products)」と「証券ベーススワップ(Security-Based Swaps)」のどちらとして扱うかを明確にする必要があると指摘した。分類によって登録、取引場所、清算、証拠金などの規制要件が変わるため、SECと米商品先物取引委員会(CFTC)が協調して整理すべきとしている。

なおSECとCFTCは6月に開始した別の共同意見募集で、株式を参照する現金清算型パーペチュアルを証券先物として扱えるかについて、すでに意見を求めている。

情報開示について両者は、株式発行企業に適用される開示制度ではなく、契約の仕組みや資金調達率、レバレッジ、清算基準、価格算定方法、上場後の移行方法、代替清算など、デリバティブ固有のリスクに即した枠組みが必要だと提言した。

市場開設の条件としては、登録届出書の公開後や、上場が公表されてから一定期間内に限定することなどを提案した。市場の健全性については、価格オラクルと清算ルールの事前開示、ルール変更時の開示、監査証跡の保存、市場操作や利益相反への対策、重要な未公表情報を保有する市場開設者やその関連会社による取引への対応を求めている。

投資家のアクセスについては、レバレッジ制限、ポジション制限、商品固有のリスク開示などを設けた段階的な導入を提案。そのうえで、最終的には個人投資家を含むすべての米国投資家がIPOP市場へ参加し、上場前の想定株価に対する価格エクスポージャーを得られる制度を目指す考えを示した。

参考:HPC 
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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