ワールドチェーン、ブロック並列検証機能を導入へ。8/17にメインネットで有効化

ブロック検証を並列化し処理能力向上へ

レイヤー2ブロックチェーン「ワールドチェーン(World Chain)」が、ブロック検証を並列化する機能「フル・ブロック・アクセス・リスト(Full Block Access Lists)」をメインネットで今年8月17日に有効化する。ワールドチェーン公式ブログより8月5日に発表された。

ワールドチェーンは、イーサリアム(Ethereum)を基盤に、処理能力を高めることを目的としたレイヤー2ブロックチェーンだ。同チェーンは今回の機能により、ブロックを検証するノードのハードウェア要件を引き上げることなく、毎秒1ギガガス規模の実行スループットを目指すと説明している。

現在のイーサリアムや多くのEVM系チェーンでは、ブロック内のトランザクションを順番に再実行して検証する必要がある。後続のトランザクションが前のトランザクションによる状態変更に依存する可能性があるため、安全に並列化することが難しく、処理能力を高める際の制約となっている。

今回導入される「ブロック・アクセス・リスト(Block Access Lists:BAL)」は、ブロック内でアクセスされたアカウントやストレージの位置に加え、残高、ノンス、コントラクトコード、ストレージの変更内容と変更後の値などを記録する仕組みだ。

検証ノードは、この情報を利用して各トランザクションが必要とする状態を事前に把握できる。そのため、従来のようにトランザクションを1件ずつ順番に再実行するのではなく、複数のCPUコアを利用して並列に検証を進められるようになる。

また、処理後の状態を示す「ステートルート」の計算や、必要な状態データの事前読み込みもトランザクション実行と並行して進められる。

実際の実行結果はBALの内容と照合され、一致しない場合はブロックが拒否される。不正なBALによって無効なブロックを有効にすることはできず、影響は一定範囲の検証時間の浪費に限られるとワールドチェーンは説明している。

200ミリ秒ごとにブロックを分割検証

今回の機能は、イーサリアム改善提案「EIP-7928」で定義されるBALを、ワールドチェーンが採用する高速ブロック配信機能「フラッシュブロック(Flashblocks)」と組み合わせて実装するものだ。ワールドチェーン・セポリア(World Chain Sepolia)では、7月27日にすでに有効化されている。

同チェーンでは、2秒ごとにブロックを生成する一方、構築中のブロックを200ミリ秒ごとに「フラッシュブロック」として分割配信している。

各フラッシュブロックには、その区間で生成されたアクセスリストの一部も含まれる。これにより、ブロック完成を待たずに検証を進められる。

そのため、検証処理をブロック生成中の2秒間へ分散できる。最後のフラッシュブロックが届く頃には、ブロックの大部分の検証が完了している状態になるという。

また各フラッシュブロックには、アクセスリストの内容に対するコミットメントとなる「access_list_hash」が含まれる。ブロックビルダーは200ミリ秒ごとに、その区間でアクセス・変更した状態を示すリストの内容へコミットする。申告内容と実際の実行結果に差異があれば、ブロック完成前に検出できるとのこと。

なお、EIP-7928はイーサリアムの次期大型アップグレード「グラムステルダム(Glamsterdam)」でも主要機能の一つとして採用される予定だ。イーサリアムでは12秒ごとに1つのアクセスリストを付与する計画だが、ワールドチェーンでは200ミリ秒ごとにアクセスリストを分割して配信する点が異なる。

また、イーサリアムではハードフォークによる導入が予定されている。一方、ワールドチェーンではランタイムフラグによって機能を有効化できるため、ネットワーク全体で連携したアップグレードは不要とのこと。

あわせてワールドチェーンは、標準的なAWSクラウド環境を利用したテストネットで負荷試験も実施した。検証ノードには4vCPUへ制限した「レス(reth)」クライアントと、標準的なEBSストレージを利用したという。

試験では、実行スループットを毎秒170万ガスから毎秒10億ガスまで段階的に引き上げた。その結果、試験で生成できたすべてのスループットでリアルタイム処理を維持したとのこと。最大負荷時の制約要因は検証ノードではなく、負荷生成ツールとシーケンサーだったという。

参考:ワールド
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。