【取材】パシフィックメタとキリフダ、Ellipticの日本展開を支援。金融機関向けオンチェーン分析サービス提供へ

研修からツール導入

運用まで一貫支援 ・パシフィックメタ(Pacific Meta)と同社傘下のキリフダが、エリプティック(Elliptic)の日本市場における導入・展開を支援する取り組みを7月13日に発表した。

パシフィックメタは、ブロックチェーンコンサルティング事業を展開する企業。またキリフダは、オンチェーン分析・AML支援の専門サービス「ブロックチェーン インテリジェンス(BCI)」を提供する企業だ。

そしてエリプティックは、2013年創業のブロックチェーン分析企業だ。暗号資産(仮想通貨)交換業者や金融機関、規制当局向けにオンチェーン分析ソリューションを提供しており、世界の主要取引所や金融機関でも採用されている。

今回の取り組みでは、キリフダがオンチェーン分析の知見を生かし、エリプティックの紹介パートナーとして国内事業者の導入を支援する。またパシフィックメタは、海外ブロックチェーン関連プロダクトの日本展開に関する知見を生かし、国内市場への導入を支援する。

オンチェーン分析とは、ブロックチェーンに記録された公開取引データを分析し、資金の流れやウォレット同士の関係、不正取引の有無などを把握する技術だ。暗号資産交換業者や金融機関では、マネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)、不正送金の検知などに活用されている。

近年は、ステーブルコインやトークン化された金融商品の活用が広がる中、金融機関によるオンチェーン分析の重要性が高まっている。金融機関でもブロックチェーン上の資金の流れを把握し、コンプライアンスへ対応する必要性が高まっているためだ。

今回「あたらしい経済」編集部がキリフダの山口睦生氏へ取材したところ、山口氏は、2028年に予定されている暗号資産規制の金融商品取引法への移行を見据え、金融機関や官公庁における暗号資産やステーブルコインへの関心が高まっていることが、今回の取り組みの背景にあると説明した。

キリフダはこれまで、官公庁などを対象にオンチェーン分析やデータ活用に関する研修を実施してきた。山口氏は、「研修による知見の提供だけでなく、実務の現場で実際に必要とされるツールの導入までを一気通貫で支援すべきだという課題意識を強く持つようになりました」と説明した。こうした課題意識から、AML・CFT領域におけるオンチェーン分析ツールのパイオニアであるエリプティックとの協業に至ったとのことだ。

また同氏は、今回の取り組みはエリプティックのみを顧客へ提案するものではなく、顧客の課題や体制に応じて最適なソリューションを提案する方針に変わりはないと説明した。そのうえで同氏は、エリプティックについて、世界トップクラスの分析基盤を持ちながら、日本の事業者にとって導入・運用しやすいソリューションだと評価している。

さらに同氏は、日本企業が抱える課題として、国内事業者や官公庁におけるブロックチェーン上の取引活動(オンチェーンアクティビティ)への理解がまだ十分ではない点を挙げた。ブロックチェーン上のデータを正しく読み解けなければ、誤った判断につながり、利用者の不利益や不満を招く可能性があるという。

また同氏は、今後オンチェーン金融が広がるにつれて取引件数や取引額が増加し、高度なオンチェーン分析の重要性はさらに高まるとの見方を示した。キリフダは、国内事業者がグローバル水準のコンプライアンス体制を構築しながら、安心してオンチェーン金融の成長機会を取り込める環境づくりを支援する方針だ。

なお、キリフダは今年2月にパシフィックメタのグループ会社となっている。パシフィックメタは今年5月、日本企業による海外ブロックチェーン関連プロダクトの導入・実装を支援する「グローバル・ブロックチェーン・パートナー・ソリューションズ(Global Blockchain Partner Solutions)」を開始しており、今回の取り組みでも同サービスを通じてエリプティックの日本展開を支援する。

参考:プレスリリース
画像:iStocks/Peach_iStock

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。