アーベ創設者が反論、クラーケン親会社によるAave関連企業への出資報道に「AAVE安売りはない」

CoinDesk報道にスタニ氏が反論

暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)を傘下に持つ企業「ペイワード(Payward)」が、分散型金融(DeFi)レンディングプロトコル「アーベ(Aave)」関連企業への出資を協議していると、暗号資産メディア「コインデスク(CoinDesk)」が6月25日に報じた。一方、アーベ創設者でアーベラボ(Aave Labs)CEOのスタニ・クレチョフ(Stani Kulechov)氏はその報道を受け、自身のXアカウントで「記事のフレーミングは正確ではない」と反論した。

コインデスクによると、同メディアが確認した文書では、クラーケンは35,000ETHを投資し、250,000AAVEトークンと、アーベラボの親会社にあたる「アーベグループ(Aave Group)」の普通株式15%を取得する案が検討されているという。同報道では、アーベグループの評価額は3億8,500万ドル(約622億円)とされており、取引総額は約7,100万ドル(約114.7億円)相当になるとしている。

また関係者によると、クラーケンはこの案件の一部について、複数の投資家と共同で引き受けることも検討しているという。別の関係者は、この投資がペイワードによる資産運用事業「ペイワード・アセット・マネジメント(Payward Asset Management)」構築に向けた一連の案件の第1弾になるとの見方を示している。

これに対しクレチョフ氏は、「AAVEを70%のディスカウントで売却することは絶対にない」と説明。そのうえで、コインデスクの記事に対し「フレーミングは正確ではない」と述べた。

同氏は、アーベプロトコル(Aave Protocol)およびステーブルコイン「GHO」の収益は、100%がAAVEトークン側へ価値帰属する構造だと説明した。また、アーベアプリ(Aave App)やアーベプロ(Aave Pro)、スワップ(Swaps)を含むプロダクト収益についても、同様にAAVEトークン側へ価値が帰属するとした。

さらに、アーベラボはアーベDAO向けに開発や事業展開を担うサービスプロバイダーであり、プロトコルやプロダクトの収益は受け取っていないと説明した。一方で、アーベラボが保有するAAVEについては、複数の市場参加者が長期的なパートナーシップの一環として取得を協議していることは認めている。

また同氏は、アーベは現在、年換算で約1億3,400万ドル(約216.5億円)の収益を生み出しており、その全額がアーベDAOへ帰属すると述べた。さらに同氏は、自動かつ裁量を伴わない新たなAAVE買い戻し機構を含む「アーベノミクス3.0(Aavenomics 3.0)」を設計していることも明らかにした。同トークノミクスの詳細については、現時点では公表されていない。

今年可決された「Aave Will Win」が背景

なお、今回のクレチョフ氏の説明は、今年4月にアーベDAOで可決・実行された運営方針「アーベ・ウィル・ウィン・フレームワーク(Aave Will Win Framework)」の主要資金拠出部分「プライマリー・ファンディング・リクエスト(Primary Funding Request)」とも関連している。

同枠組みでは、アーベブランドのプロダクトやアプリケーションから生じる収益をアーベラボではなくアーベDAOのトレジャリー(資金庫)へ集約する方針が示された。これにより、アーベラボはDAOから資金提供を受けて開発や事業運営を担う体制へ移行している。

また同提案では、プロトコルだけでなくブランドやプロダクトの経済的価値についても、最終的な帰属先をガバナンストークンであるAAVEとする方針が示されている。

今回のコインデスク報道では、クラーケンによるアーベグループへの出資案が報じられた一方、クレチョフ氏は、現在のアーベではプロトコルやブランド、プロダクトから生じる経済的価値はAAVEトークン側へ帰属する仕組みとなっていることを改めて説明し、報道内容の構図に異議を唱えた。

参考:コインデスク
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。