控訴棄却で法的選択肢はさらに限定的に
経営破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTX創業者のサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried:SBF)氏が、服役中に出所後の構想として自身のコイン立ち上げについて語っていたことが明らかになった。
「ニューヨーク・マガジン(New York Magazine)」の6月16日付の報道によると、SBFは以前収監されていた低警備連邦刑務所FCIターミナル・アイランドで同じ施設にいた人物との会話の中で、出所後に自身のコインを立ち上げる考えに言及したという。また、そのコインについて「みんな飛びつくだろう」といった趣旨の発言も伝えられている。この発言が実際の計画なのか冗談だったのかは定かではない。ただし、暗号資産市場では、これを新たなトークン発行構想として受け止める向きもある。
SBFは2023年、FTXおよび関連企業アラメダ・リサーチをめぐる詐欺および共謀など7件の罪で有罪評決を受け、その後2024年3月に25年の禁錮刑を言い渡された。
6月12日には、米連邦第2巡回区控訴裁判所の3人の判事による合議体が全員一致でSBF側の控訴を棄却。有罪判決および量刑を維持した。
判決文では、検察側が提示した証拠について「控えめに言っても強固だった」と評価。バリントン・パーカー巡回判事は、SBFが顧客や投資家、規制当局に対して顧客資産の安全性を繰り返し説明する一方で、顧客資金を不動産購入や政治献金、投資などに利用していたと指摘した。
弁護側は今後、同裁判所の全員法廷による再審理請求や、米連邦最高裁への上告受理申立てを検討する可能性があるとみられている。
一方、複数の米メディアによれば、SBFは米司法省の恩赦担当官事務所を通じてドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領への恩赦を申請しているとされる。
報道を受け、市場ではFTXの旧取引所トークンであるFTTが一時大きく上昇する場面も見られた。ただし、トランプ大統領はこれまでSBFについて恩赦を与える予定はないとの考えを示しており、実現の可能性は低いとの見方が広がっている。
現在SBFは、米カリフォルニア州サンタバーバラ近郊の低警備連邦刑務所に収監されている。現時点では2044年頃に釈放資格を得る見通しとされている。 ・SBFによるトークン発行構想が実際に存在するのかは不明だ。また、仮に構想が現実のものとなったとしても、実現までには多くの法的・実務的なハードルが存在するとみられる。
ただし暗号資産市場では近年、著名人や話題性そのものを価値の源泉とするミームコインが相次いで登場している。こうした市場環境を踏まえれば、SBFという人物に関連するトークンが投機的な関心を集める可能性は否定できない。
FTX破綻から約3年半あまりが経過した現在も、SBFをめぐる動向はなお暗号資産業界の注目を集め続けている。
参考:報道
画像:Reuters