マスターカード、AIエージェント向け決済基盤「Agent Pay for Machines」発表

マスターカードがAIエージェント向け決済基盤発表

米決済大手マスターカード(Mastercard)が、AIエージェントや機械同士による自律的な決済を支援する新サービス「エージェントペイ・フォー・マシンズ(Agent Pay for Machines:AP4M)」を6月10日に発表した。

AP4Mは、AIエージェントや機械、ソフトウェアが、取引ごとに人の操作を介さず継続的かつ自動的に支払いを行うための決済基盤だ。

近年は、コインベース(Coinbase)が開発を主導した「x402」や、ストライプ(Stripe)とテンポ(Tempo)が共同策定した「MPP(Machine Payments Protocol)」など、AIエージェントによる自律決済を支えるプロトコル開発や標準化の取り組みが進められている。マスターカードは今回、この分野向けの決済インフラを提供する。

AP4Mでは、エージェントの認証(Credentialing)、支払い権限管理(Permissioning)、取引実行(Transacting)、清算(Settling)の機能を提供する。利用企業は支出上限や利用条件を設定できるほか、カード、口座、ステーブルコインなど複数の決済手段・レールによる清算に対応するという。

また同サービスでは、AIエージェントが認可された主体であることを証明する仕組みや、事前に設定された条件の範囲内でのみ支払いを実行する制御機能も提供される。

今回の発表に合わせ、マスターカードは30以上の企業・団体との連携も発表した。

マシン・ペイメンツ市場で進む標準化とインフラ整備

AIエージェントによる自律的な決済を巡っては、複数の企業や団体が標準化やインフラ整備を進めている。

コインベースが開発を主導した「x402」は、AIエージェントやアプリケーションがAPIやデジタルサービスの利用料を自動的に支払うためのオープンプロトコルだ。また、ストライプとテンポが共同策定した「MPP(Machine Payments Protocol)」は、AIエージェント同士が支払い条件の提示や承認、決済を行うためのオープンプロトコルとして開発されている。

一方で、今回マスターカードが発表したAP4Mは、こうした機械間決済のルールを定めるプロトコルそのものではない。AIエージェントによる決済を実際に認証・処理・清算するための決済インフラとして提供される。

マスターカードによると、企業は既存の決済ネットワークを利用しながら機械間決済を導入できるという。

なお今回の発表では、MPPを共同策定したテンポや、x402の普及を進めるコインベースもパートナー企業として参加している。マスターカードは、AIエージェントによる商取引の拡大を見据え、機械間決済向けインフラの整備を進めるとしている。

連携企業一覧

【決済・フィンテック】
アディエン(Adyen)、アント・インターナショナル(Ant International)、ベーシス・セオリー(Basis Theory)、BVNK、チェックアウトドットコム(Checkout.com)、ゲットネット・バイ・サンタンデール(Getnet by Santander)、グローバル・ペイメンツ(Global Payments)、ストライプ(Stripe)、ペイOS(PayOS)

【暗号資産・ステーブルコイン】
コインベース(Coinbase)、OKX、アンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)、ムーンペイ(MoonPay)、リップル(Ripple)、レイン(Rain)、コインフロー(Coinflow) 【ブロックチェーン・インフラ】 アルケミー(Alchemy)、ポリゴン(Polygon)、ソラナ財団(Solana Foundation)、クロスミント(Crossmint)、ターンキー(Turnkey)、ユーティラ(Utila)、カテナ(Catena)、t54ラボ(t54 Labs)

【DeFi・オンチェーン金融】
アーベラボ(Aave Labs)

【AI・クラウド・インターネット】
クラウドフレア(Cloudflare)、ラバブル(Lovable)、ネバーマインド(Nevermined)、スカイファイア(Skyfire)、サピオム(Sapiom)

【Machine Payments関連】
テンポ(Tempo)、マスターカード・マーチャント・クラウド(Mastercard Merchant Cloud)

参考:マスターカード
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。