暗号資産市場と税務監督を強化
スペインでは2026年、暗号資産(仮想通貨)を取り巻く規制環境が大きく転換する見通しだ。暗号資産現地メディア「クリプトノティシアス(CriptoNoticias)」が12月24日に報じた。
EU(欧州連合)が策定した2つの主要な制度、「暗号資産市場規則(MiCA/MiCAR:Markets in Crypto Assets Regulation)」と「行政協力指令(DAC8)」が相次いで本格施行され、市場運営と税務監督の両面で管理が強化されるとみられる。
まずMiCAは、スペインにおいて2026年7月1日から完全適用となる。MiCAは2024年12月30日からEU全域で適用されているが、スペインでは経過措置が最大限活用されたためだ。
スペイン国内では、金融市場を監督する証券監視機関(CNMV)がMiCAの執行を担っており、すでに60社以上の暗号資産関連企業が登録されている。これにはスペイン大手銀行グループBBVAなどの銀行や暗号資産取引所も含まれている。
スペイン政府は2024年12月、MiCAに定められた経過措置を2026年7月1日まで延長することを決定した。
これにより、暗号資産取引所をはじめとするすべての暗号資産サービスプロバイダーは、同規則に基づく正式な認可を取得しなければ事業を継続できなくなる。経過措置期間中は従来の国内法のもとでの営業が認められているものの、2026年7月以降はMiCAの正式認可を取得した企業のみが営業を許され、未対応事業者は市場から退出を迫られる可能性が高い。
一方、税務分野での規制強化を担うDAC8は、MiCAに先行して2026年1月1日に施行される。DAC8は、暗号資産取引所や関連サービス提供者に対し、ユーザーの取引内容、保有残高、資金の流れといった情報をEU各国の税務当局へ自動的に報告することを義務付けるものだ。これにより、暗号資産取引における税務上の透明性が大幅に高まり、各国当局による監視体制が強化される。
EU全域では、MiCAにより、暗号資産の発行・流通に関するルールがEUレベルで統一され、ユーティリティトークン、セキュリティトークン、ステーブルコインなどの分類に基づく規制が明確化される。
参考:報道
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