ステラ、マーシャル諸島でベーシックインカム給付。主権債「USDM1」活用

デジタル主権債によるベーシックインカム給付を開始

ステラ開発財団(Stellar Development Foundation:SDF)が、マーシャル諸島共和国の国家ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)プログラム「エンラ(ENRA)」において、世界初となる全国規模のUBIオンチェーン給付を実現したと12月16日に発表した。

この取り組みでは、マーシャル諸島共和国が発行するデジタル主権債「USDM1」を用い、エンラの対象となる市民に対して四半期ごとの直接給付を行う。USDM1はステラ(Stellar)ネットワーク上で配布され、給付金は受給者のデジタルウォレットに直接送金される仕組みだという。

ステラ開発財団は、USDM1の開発に向けて数百万ドル規模の助成金を拠出した。USDM1は、マーシャル諸島共和国がデジタルで発行する完全担保型の主権債で、UBIプログラムにおける給付手段として利用されている。

エンラは今年11月に開始された国家UBIプログラムで、対象となる市民に対し四半期ごとの給付を行うとしている。同国は約1,200の島々が広範囲に分散しており、従来は四半期ごとの現金輸送(船便や航空便)に依存し、地域によっては受給に長距離移動を要する課題があったという。

今回のオンチェーン給付では、マーシャル諸島共和国向けに構築された専用アプリ「ロマロ(Lomalo)」を通じて資金にアクセスできる。ロマロは、クロスミントのウォレット基盤(Crossmint wallets)を用いたアプリで、給付は「ステラ・ディスバースメント・プラットフォーム(Stellar Disbursement Platform)」を通じ、USDM1がロマロのウォレットに直接配布されるという。

USDM1は、短期の米国財務省証券(米国債)により1対1で完全に裏付けられている。マーシャル諸島共和国は、米国との自由連合盟約(Compact of Free Association)に基づき米ドルを唯一の法定通貨としており、USDM1はドル建ての主権債務と位置付けられるとしている。

またクロスミントの説明では、USDM1はニューヨーク法の枠組みの下で設計され、短期米国債は独立した米国の信託会社で保管されるとのこと。

また今回の発表にあわせて、マーシャル諸島共和国の金融包摂戦略やデジタル・インフラの近代化、USDM1に関する政策および金融上の枠組みを整理した7部構成のホワイトペーパーも公開されたとのことだ。

 

参考:ステラ開発財団
画像:PIXTA

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