英財務省、2027年から暗号資産を従来金融と同様に規制へ=報道

2027年10月施行へ

英国財務省(HM Treasury)が、2027年10月から暗号資産(仮想通貨)を従来の金融商品と同様に規制する計画を進めていると報じられた。英紙「ガーディアン(Guardian)」など複数メディアが12月15日に報じた。

報道によれば財務省は、金融行動監視機構(FCA)が監督する一連の基準に準拠することを、暗号資産企業に義務付ける規則を策定しているという。これは取引プラットフォームやウォレット提供者などのサービス提供者を、既存の金融商品と同じ規制体系に組み入れる狙いだ。

レイチェル・リーブス(Rachel Reeves)英財務大臣は、「暗号資産を規制の対象とすることは、デジタル時代における世界有数の金融センターとしての英国の地位を確保する上で重要な一歩である」とガーディアンにコメント。

リーブス氏は、明確なルールを与えることで、英国への投資やイノベーション、高度なスキルを必要とする雇用創出に必要な確実性を提供し、何百万人もの消費者に強力な保護を提供すると同時に、いわゆる悪質な行為者を市場から締め出すことができると述べたとのことだ。

現在、英国における暗号資産は従来の株式などと同じ枠組みで規制されておらず、その結果として同レベルの消費者保護が提供されていないケースが多い。

新規則が施行されれば、暗号資産サービスを提供する企業は英国金融行動監視機構(FCA)の管轄下に入り、透明性や市場運営基準、監督義務などが従来金融商品と同等に適用されることになる。

ロンドン金融都市担当大臣ルーシー・リグビー(Lucy Rigby)氏はガーディアンに対し、「英国を成長志向の暗号資産企業にとって最優先のロケーションにしたい。新ルールは、企業が長期計画を立てる上で必要な明確性と一貫性を提供する」と述べた。

英国は現在、暗号資産領域における規制整備を推進している最中だ。

9月には米国と「未来の市場のための大西洋横断タスクフォース(Transatlantic Taskforce for Markets of the Future)」の設立を決定。

このタスクフォースは、英国・米国の金融規制ワーキンググループ(FRWG)を通じて両国財務省に報告を行う予定で、資本市場やデジタル資産、その他の革新的な金融活動に関する協力強化の提言を取りまとめる。提言は業界パートナーとの緊密な連携を通じて策定され、投資家・企業・市場参加者双方に新たな機会をもたらすことを目指している。

また財務省は同月、英国におけるマネーロンダリング防止(AML)およびテロ資金供与対策(CFT)体制を強化するための規則改正案「2025年資金洗浄及びテロ資金供与(改正及び雑則)規則」を公表している。

なお、FCAが11月26日に公表した調査では、暗号資産の保有率は英国人口の12%に達し、前回の10%から上昇している。認知度は93%、1人当たりの平均保有額も1,842ポンドへと増加した。

一方、回答者の約3分の1が、トラブル時にFCAが補償してくれると誤認しており、FCAは暗号資産市場が依然として高リスクで、原則として損失補償はないと改めて警告している。

参考:報道
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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