イーサL2「Base」、30日間でガスリミット倍増を計画

BaseがスケーリングでガスリミットをQ4に倍増予定

大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が提供するイーサリアム(Ethereum)レイヤー2ネットワーク「ベース(Base)」が、2025年第4四半期中、30日間でガスリミットを現在の75 Mgas/sから150 Mgas/sへ倍増させる計画を10月28日に発表した。これは数十億人のオンチェーン利用に対応するグローバル経済プラットフォームとしての機能を強化するためのスケーリング戦略の一環とのことだ。

なお30日には、ガスリミットは100 Mgas/sに向上したことが発表されている。

ベースチームによると、2025年前半には毎週のようにスケーリング調整を実施した結果、トランザクション当たりの手数料の中央値が約30セントから1セント未満まで大幅に削減されたという。6月には最大で1秒あたり約1,500トランザクションを処理し、手数料の中央値は5セント未満を維持したとのことだ。

今回の計画では、ガスターゲット(Gas Target)ではなくガスリミット(Gas Limit)を増加させる方針に変更している。ガスリミットの増加は手数料市場への影響が少ないため、より効果的なスケーリング手法として採用されたという。ガスターゲットの増加は高い手数料が観測された場合にのみ実施するとのことだ。

ベースは現在、L1データ可用性(DA)、クライアント実行速度、フォルトプルーフ(Fault Proof)性能、ステートと履歴の増加への対応の4つの主要なスケーリングボトルネックを解決するプロジェクトを進行中だ。

L1データ可用性については、5月7日のペクトラ(Pectra)ハードフォークでブロブ(Blob)容量が倍増し、12月3日予定のフサカ(Fusaka)ハードフォークでピアデータ可用性サンプリング(PeerDAS)が実装される予定だ。これにより2026年初頭までにブロブ容量が2倍以上になる見込みとのことだ。

クライアント実行速度の改善では、従来のop-gethからより高性能なRUST言語ベースのクライアントであるop-rethをもとにしたBaseクライアントへの移行を進めている。さらにストレージの読み書き速度を8-10倍向上させる「TrieDB」プロジェクトや、リソースメータリング機能の実装も進行中だという。

フォルトプルーフ性能については、OP Labsが開発したマルチスレッドと64ビットアーキテクチャを採用した「MT+64 Cannon」の導入により大幅な性能向上を実現したことで、現在はスケーリングの即座に対応すべきボトルネックではなくなったという。

同チームは、2026年初頭までにガスリミットを400-500 Mgas/sまで拡張可能と見込んでおり、10億人以上のユーザーをサポートするプラットフォームの実現を目指しているとブログで述べている。 

参考:Baseブログ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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