Apple、米App Storeのガイドラインを変更。NFT・暗号資産アプリが手数料回避可能に

Epic Games訴訟の影響で

米アップル(Apple)が、米国におけるApp Storeのガイドラインを変更したことで、同国で展開するNFTや暗号資産関連のアプリはアップルの従来の30%手数料を回避できるようになった。

この変更は2025年5月2日に発効し、開発者はアプリ内で外部決済リンクを表示して、ユーザーをApp Store外の支払いページへ誘導することが可能になった。

これにより、開発者は収益性を向上させ、ユーザーに対してより柔軟な支払いオプションを提供できるようになった。

ただし、アップルのガイドラインによると、米国外では引き続き、アプリ内での外部リンクやボタンを通じて、アプリ外の購入手段に誘導することは禁止されている。

またアップルは、デバイス上で暗号資産をマイニングするアプリや、特定のアクションの達成によって暗号資産を報酬として与えるアプリなど、一部の暗号資産関連機能を引き続き制限している。

今回の動きは、米エピックゲームズ(Epic Games, Inc.)による反トラスト法(独占禁止法)訴訟の影響によるものと見られる。

訴訟は2020年、エピックゲームズがApp Storeの30%手数料を不服として、ゲーム内課金を自社サイト経由で可能にしたことを発端に始まった。

これを受け、アップルは「フォートナイト(Fortnite)」をApp Storeから削除し、両社は互いに訴訟と反訴を行った。

一審では、エピックゲームズに対し、外部決済導入で得た収益の30%(約1,200万ドル)をアップルに支払うよう命じる判決が出た一方で、アップルはガイドラインを改訂し、外部決済を認めるよう指示された。

しかしアップルは、外部決済にも27%の手数料を課すなど、実質的な開放を避ける対応を続けた。2025年4月、カリフォルニアの連邦判事はアップルが裁判所命令に「故意に違反」したと判断し、刑事告発の可能性を示唆した。

エピックゲームズのCEO、ティム・スウィーニー(Tim Sweeney)氏は、フォートナイトが早ければ5月第2週に米国のApp Storeへ復帰する可能性があると述べている。

なお、スウィーニー氏はポッドキャストでも5月9日以降の復帰を示唆している。

参考:ポッドキャスト
画像:iStock/Wirestock

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者