アーサーヘイズ、ポイントプログラムは暗号資産調達やユーザー獲得に有用と考察

ICOとイールドファーミングのいいとこどり

暗号資産(仮想通貨)取引所ビットメックス(BitMEX)の共同創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏は、暗号資産(仮想通貨)の資金調達やユーザーエンゲージメント獲得の手段として、「ポイント・プログラム」が有用だと考えているようだ。同氏が2月9日の自身のブログにて考察している。

ヘイズ氏はブログにて、ポイント・プログラムがICO(新規暗号資産の公開)やイールドファーミング(DeFiに暗号資産を預けて利回りを得る資産運用方法)の良い面を組み合わせたものだと主張した。

ヘイズ氏によれば、ICOやイールドファーミングには利点がある一方、欠点もあるという。

例えばICOでは、多くの個人投資家が小額からプロジェクトへの投資ができる一方で、規制上の障壁が立ちはだかるとヘイズ氏は指摘。「個人投資家に売るものを規制当局は『証券』と呼び、多くのやりたくないことを要求する」とヘイズ氏は述べている。

またイールドファーミングについては、プロトコルを利用することで、ユーザーに報酬としてトークンを付与するが、トークン供給の急速な膨張により、結果としてトークン価格の下落を引き起こし、ユーザーがプロトコルを使用するインセンティブの喪失につながると述べた。

これらのことからヘイズ氏は、ポイントプログラムがプロジェクトにとって新しい形のゲリラマーケティング手法になると主張した。

ポイントプログラムでは、ユーザーがプロトコルに参加することで報酬が得られる。トークン自体がユーザーに配布されるのではなく、参加して獲得したポイントがトークンに変換され、ユーザーのウォレットに無料でエアドロップされる仕組みだ。

ヘイズ氏は、この手法であれば、プロジェクトとユーザー間で法定通貨やトークンの交換が行われず、具体的な報酬が約束されないため、規制当局はこれを容認する可能性があると考察した。

またヘイズ氏はその他のメリットとして、トークン販売前にVCや富裕層投資家との契約締結に依存する必要性が減少する点や、ポイント付与により、ユーザーへの特定のアクションを起こすことができる点等を挙げている。

しかしヘイズ氏は、ポイントプログラムは今後急速に増加するにつれ、悪用される可能性もあるとの考えも示した。

「ユーザーとプロトコル創設者の間に、高度な信頼がある場合にのみ、有効だ」とヘイズ氏はポイントプログラムについて指摘している。

ヘイズ氏はそれでも「(こういったプログラムには)信頼を悪用する悪徳業者が存在する」とし、このことがユーザーエンゲージメントと資金調達のためのツールとしてのポイントを「殺す」可能性があると述べている。

ヘイズ氏は「好むと好まざるとにかかわらず、成功するプロジェクト(成功とはトークン数が増えることを意味する)はすべて、トークン生成イベント(Token Generation Event:TGE)の前にポイントプログラムを実施する」と考えており、「そうすることでプロトコルの利用が促進され、トークンがエアドロップされ、さらには公に状況が盛り上がるだろう」と述べている。

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参考:ブログ
images:iStocks/4×6・alphaspirit

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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