取引所の未登録運営で提訴のBittrex、連邦破産法を申請

ビットトレックスがチャプター11を申請

米暗号資産(仮想通貨)取引所ビットトレックス(Bittrex)が、米証券取引委員会(SEC)から未登録の証券取引所を運営しているとして非難されてから3週間が経過した5月8日、連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請した。

シアトル本社のビットトレックスは、4月30日に米国でのサービスを停止した。なお米国以外のユーザーにサービスを提供しているリヒテンシュタイン拠点のビットトレックスグローバル(Bittrex Global)には、破産申請による影響はないという。

デラウエア州ウィルミントンの裁判所に提出された破産申立書によると、ビットトレックスの資産と負債は共に5億ドルから10億ドル(約674.7億から約1349.5億円)に及んでいる。

ビットトレックスは4月30日までに資産を引き出さなかった米国ユーザーの暗号資産を未だ保有しているとのことだ。

これらの資産は「安全かつ確実」なものであるとし、ビットトレックスはこれら暗号資産をユーザーに返還できるように顧客口座の限定的な再開を破産裁判所に求めるつもりだと述べている。

暗号資産関連の複数の企業が、資産価値の下落や規制当局の監視強化、また、かつて隆盛を誇った大手暗号資産取引所のFTXの場合は刑事告訴によって転落し、過去1年間の内に破産に追い込まれている。

4月17日、SECはビットトレックスを提訴。その訴状では、ビットトレックスの元CEOのウィリアム・シハラ(William Shihara)氏が、同プラットフォームへの上場を望む発行体と調整し、規制当局の調査対象となり得る特定の「問題発言」をパブリックチャンネルから削除したことが指摘されていた。

ビットトレックスは、同社プラットフォーム上の暗号資産が証券でも投資契約でもないとし、SECの申立てを拒否していた。

SECの訴訟はまだ係争中だが、ビットトレックスは昨年10月、米国財務省の外国資産管理局(OFAC)と金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)から銀行秘密法違反の訴因を受け、米国財務省に2900万ドル(約39億円)の和解金を支払うことに合意している。

ビットトレックスの破産申請書には、OFACが最大の無担保債務者として記載されており、同局に対して2400万ドル(約32.3億円)以上の債務を負っていることが記されている。

ビットトレックスのその他の最大の債権者は、そのほとんどがユーザーであった。同社は少なくとも100万ドルの口座がある16人のユーザーを匿名でリストアップしている。申立書によると、最も大きな顧客口座残高では、1460万ドル(約19.7億円)にのぼる。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Crypto exchange Bittrex files for bankruptcy after SEC complaint By Dietrich Knauth
Reporting by Dietrich Knauth; Editing by Mark Porter and Jamie Freed

翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。 同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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