【取材】traveryとDMM、国内web3エンジニア増加目指し「東京web3ハッカソン」を開催へ

traveryとDMM、「東京web3ハッカソン」を開催へ

ハッカソンプラットフォーム「AKINDO」などweb3領域の事業開発を行うtreavryが、DMM.comと「東京web3ハッカソン」を開催することを発表し、エントリー受付を9月28日より開始した。

このハッカソンは誰でもエントリーが可能であり、1人でも参加でき、最大4名までのチームとしてプロダクトの提出ができるとのこと。また賞金総額は500万円で、ハッカソン期間は10月22日〜11月6日にリアルとオンラインのハイブリッドで開催される予定だ。開発テーマは「DAO」、「NFT」、「Security」、「DeFi」、「GameFi」となっている。なおDEMO DAYは11月12日を予定している。

なおハッカソンと並行して、テーマセッションも開催される。「DMMのブロックチェーンエンジニアが考えるWeb3サービスの現状の課題と解決への期待(DMM/加嵜長門)」、「EVMって実際のところ何をしているのか?(Fracton/赤澤直樹)」、「Flowブロックチェーンの目指す先 〜マス・アダプションへの道〜 (Flow Tech Ambassador/Ara) 、「Tokenomics Design:Dapps経済圏のつくり方(Emoote/コムギ)」などが一部の例として発表で挙げられている。

スポンサーにはRitsuan、DeNA、bitFlyer、Thirdverse、double jump.tokyo、cocone connect、Gaudiy、Dentsu、Microsoft、WeWorkらが名を連ねている。

またコミュニティパートナーとしてFracton Ventures、shiftbaseのエンジニアコミュニティ「UNCHAIN」、国内のweb3関連DAO「和組」、Emoote、F Venturesらが、またブロックチェーンパートナーとしてAstar Network、Flow、NEAR、Polygon、Aptosらが参加する。

treavry代表取締役社長の金城辰一郎氏へ取材

「あたらしい経済」編集部はtreavry代表取締役社長の金城辰一郎氏へ取材を行った。

–一般的なハッカソンの目的と現在の課題は?

一般的なハッカソンの目的はデベロッパーコミュニティを構築することです。その理由は自社のプロトコルやプロダクトを活用するアプリケーションエコシステムを拡張するためであり、これはweb3に限らず従来から行われてきた取り組みです。

しかし、web3においては以下2つの軸でハッカソンの重要性が増しており、海外のweb3プロジェクトを観察している中で、もはやweb3のマーケティングにおいてハッカソンは必ず取り組むべき施策にまでなっていると感じています。

(1)web3領域におけるExitはDAO化であり、プロジェクトの分散化のファーストステップとしてハッカソンは有効な施策になっている
(2)web3プロトコルの大きな価値はそのアプリケーションエコシステムにあるため、デベロッパーを巻き込む必要性がある

このようにweb3に取り組むプロジェクトはコミュニティを形成する必然性があるわけですが、従来のハッカソンの仕組みはデベロッパーから継続的なエンゲージメントを引き出すことに最適化されていません。

なぜならハッカソンの終了後も継続した開発を続けてもらうインセンティブがそこにはないからです。その点に大きな課題があると考えています。ハッカソンを一回限りのお祭り的なイベントで終わらせるのではなく、ハッカソン後もエコシステムを拡張していくためデベロッパーにコミットしてもらう方法をあらゆるweb3プロジェクトはもっと真剣に考えるべきだと思います。

–「東京web3ハッカソン」開催の目的は?

今回の「東京web3ハッカソン」の目的は、コンセプトでもある「Transition from web2 to web3」です。 1年ほど前からグローバルレベルで大きなトレンドとなっているweb3ですが、海外に比べ国内においてはweb3デベロッパーの数が十分にいると言える状況ではありません。

海外のweb3プロジェクトと話している中で、日本の開発者は非常に高い評価を受けていますが、その価値はITメガベンチャーを始めとした国内企業に留まっているように見受けられ、グローバルなweb3領域において国内デベロッパーの存在感はまだないに等しいと言わざるを得ません。

海外ではGAFAなどBigTechから多くの開発者がweb3プロジェクトへ流入していますが、その流れを日本でも作り出さないと、web3にとどまらず、デベロッパーのスキルセットにおいて世界基準から大きく遅れをとってしまう危機感を僕は持っています。

いつの時代も新しい時代の種を作るのは、資本家ではなく好奇心旺盛な技術者です。web3においてもブロックチェーン技術を理解し実装まで行えるデベロッパーの質と数こそが、これからの新しいインターネット時代の成長源泉であると考えています。

そのため弊社では自社でハッカソンを開催することで、新しい技術に対して興味を持つデベロッパーに対してweb3を学び実装まで一気貫通でできるキッカケを提供していきます。

またその先の話ですが、このハッカソンを通してweb3開発を経験したデベロッパーには、海外のTOPプロジェクトのハッカソンを案内し、魅力的なweb3プロジェクトに携わることで技術を高められる機会も創出できればと考えています。

–いま具体的にどのようなハッカソンプロトコルを開発されているのでしょうか?

「東京web3ハッカソン」を企画している弊社では、AKINDOというグローバルを対象としたハッカソンプロトコルを開発しています。LiskやtezosなどL1ブロックチェーンによるハッカソンもAKINDO上で開催を予定しており、今後日本にとどまらず世界中のデベロッパーとweb3プロジェクトがハッカソンを通じてコミュニティを形成できる仕組みを提供していきます。

現段階はプロジェクト側がハッカソンを簡単に開催できるプラットフォームとなっており、ハッカソンページにデベロッパーを集めて、あらかじめ設定した賞金をAKINDO上から勝者にステーブルコインで送金できるシンプルな仕組みとなっています。

プロトコルと呼べるレベルに達するにはまだ時間がかかりますが、最終的には参加者のアウトプットを任意の期間で自動評価し、賞金がデポジットプールから一定割合で自動分配される仕組みを想定しています。

いわばPoWのような仕組みをイメージしており、運営が求める方法に対して貢献を行うコントリビューターに自動で報いる仕組みです。PoWはハッカソンの切り口と相性がいいと考えており、そのゴールに向かう第一歩としてハッカソンプラットフォームとして開発を進めています。

参考:東京web3ハッカソン

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この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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