米国が北朝鮮関連のハッカーから約43.1億円相当の暗号資産押収

米国が北朝鮮関連のハッカーから3,000万ドルの暗号資産押収

北朝鮮に関連するハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」が人気ブロックチェーンゲーム「アクシーインフィニティ(Axie Infinity)」から盗んだとされる約43.1億円(3,000万ドル)以上の暗号資産(仮想通貨)を米国が押収したと、米ブロックチェーン分析企業のチェイナリシス(Chainalysis)が9月8日発表した。

北朝鮮のハッキンググループによって盗まれた暗号資産の回収は史上初となった。チェイナリシスは米国の法執行機関や他の暗号資産関連組織とともに、暗号資産の回収についてその役割を果たしたと、同社がブログ記事に投稿している。

今回の件についてチェイナリシスと国連北朝鮮代表部、FBI(連邦捜査局)は、ロイターからのコメント要請にすぐに応じなかった。

チェイナリシスによると今回押収した暗号資産の金額は、「遊んで稼ぐ(Play to Earn:P2E)」型のゲームである「アクシーインフィニティ」の為に構築されたサイドチェーン「ローニンネットワーク(Ronin Network)」から3月に盗まれた総資金の約10%に相当するという。

「ローニンネットワーク」は、ハッカーから約6億1500万ドル(当時のレートで約750億円)に相当する暗号資産が盗まれたと、事件当時に発表している。

チェイナリシスはパブリックブロックチェーン上で提供されている金融サービスの総称「DeFi(分散型金融)プロトコル」について言及しており「2022年のこれまでに、北朝鮮に関連するグループがDeFiプロトコルから約10億ドルにおよぶ暗号資産を盗んだと推定しています」と記事にて述べている。

米財務省は5月、暗号資産ミキシングサービスの「トルネードキャッシュ(Tornado Cash)」が「アクシーインフィニティ」から奪われた資金の洗浄に使われたとし、同サービスに対し制裁を加えた。

また4月に米財務省は、「アクシーインフィニティ」へのハッキングで使用されたイーサリアム(Ethereum)ウォレットのアドレスと「ラザルス」を関連付けていた。

関連ニュース

北朝鮮ハッカー集団「ラザルス」関与か、Horizon Bridgeハッキング

米国司法省、北朝鮮に暗号資産技術での制裁回避を支援した疑いで、欧州人2人を起訴

アクシー資金流出に北朝鮮ハッカー集団関与か、米財務相が特定

英税務当局、脱税の取締りで約2.2億円のNFTなどを押収

ロンドン警視庁、275億円分の暗号資産押収

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
U.S. seizes $30 million in crypto from North Korea-linked hacker
Reporting by Rachna Dhanrajani in Bengaluru; Editing by Richard Chang
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
デザイン:一本寿和
images:iStocks/gorodenkoff・sumkinna

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【4/26話題】コンセンシスがETH規制でSECを提訴、米国政府マネーファンドがP2Pで転送可能になど

米コンセンシス、イーサリアム(ETH)規制めぐり米SECを提訴、フランクリン・テンプルトン、「米国政府マネーファンド」をP2Pで転送可能に、オーケーコインジャパンにオプティミズム(OP)上場へ、国内3例目、米決済ストライプ、「USDC支払い」今夏から導入へ、Fireblocks、機関向けのDeFiセキュリティ機能を拡張、アーサーヘイズ、ビットコインの強気相場続くと予想、コスモス「IBC」でトークン無限発行のバグ修正、アシメトリックリサーチ報告、ビットコインの改善提案「BIP420」公開、スマコン追加やゼロ知識証明など実装に向け、エルサルバドル、公式デジタルウォレット「Chivo」のソースコード流出、米SEC、テラフォームラボと創業者に約53億ドルの支払い命じる