暗号資産詐欺の被害者サポート、メタマスクがアセットリアリティ提携

暗号資産詐欺の被害者サポート、メタマスクがアセットリアリティ提携

web3ウォレットのメタマスク(MetaMask)が、暗号資産(仮想通貨)関連の詐欺被害者の資産回収のため、英アセットリアリティ(Asset Reality)と戦略的パートナーシップを締結したことが5月26日に分かった。

両社は詐欺被害者で奪われた暗号資産を回収できるよう、可能な限りサポートしていく方針とのことだ。サポート対象となるユーザーは米国、英国、フィリピン、インド、ベトナム、インドネシア、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、フランス、スペイン、ドイツ、ナイジェリアのユーザーと発表されている。

メタマスクは、ブロックチェーン関連企業のコンセンシス(ConsenSys)が開発する、ユーザー数3000万人を超える人気の暗号資産ウォレット。webブラウザの機能拡張やスマホアプリとしてリリースされている。またアセットリアリティは、公的機関や民間企業に対して、暗号資産の調査、管理、回収のためのサービスとツールを提供する企業だ。

ちなみに現在暗号資産詐欺の被害者は1回あたり平均して25,000ドル(約370万円)を失っており、その被害額は最低でも50ドル(約6,300円)、時には100万ドル(1億2,000万円)を超えているという。一般的に被害者は被害にあうと、弁護士に依頼し民事訴訟をおこすため膨大な時間と費用がかかってしまう。

そのような現状を解決するため、メタマスクとアセットリアリティはパートナーシップ締結。

具体的に、アセットリアリティは法執行機関が要する証拠を集めるために、複数の詐欺被害者から情報を収集し、フォレンジック調査を行うことで、資金回収可能性を高めるという。フォレンジック調査とは、ハードディスクやスマホから、詐欺の証拠となるメールやドキュメントファイルを特定したり、サーバのログファイルから不正アクセスの記録を見つけ出すための調査のこと。

またアセットリアリティのサービスは、メタマスクユーザーには無料で提供される予定だ。ただし経済合理性があれば、ユーザーに弁護士費用を負担してもらうこともあるという。

メタマスクの共同設立者ダン・フィンレー(Dan Finlay)氏は、次のようにコメントしている。

「コンセンシスは、セキュリティの向上、ユーザー教育、資産の新しいバックアップ方法など、多面的な戦略を継続的に実施しており、ユーザーが失った資金の調査や回復を支援することは、その戦略的手段です。アセットリアリティとの業界をリードするパートナーシップを通じて、コンセンシスとメタマスクは、被害者と協力し、これらの詐欺的なオペレーションに対してケースを構築し、正しい判断を下せるようにしたいと考えています。ハッキングの被害者が、どんなに小さなことでも、名乗り出ることは本当に重要です。被害者は、より広範な調査の出発点となり、法的措置の可能性を開始するために請求を集約する機会を作ることができます」

アセット・リアリティのCEOエイダン・ラーキン(Aidan Larkin)は、今回の提携について次のように述べている。

「ユーザーが資金を盗まれた場合、多くの場合は詐欺に遭ってパスワードや秘密鍵のリカバリーフレーズを渡さなければなりませんが、精神的にも金銭的にも非常に困難な状況にあるため、どこにも頼ることができないことがよくあります。私たちは暗号資産エコシステム全体で、数百ドルから数百万ドルの価値の損失があることを確認しています。私たちは、コンセンシスおよびメタマスクと提携し、このような状況に対処するユーザーの経験を最終的に向上させる重要なサービスを提供できることを誇りに思います」

参考:メタマスク
デザイン:一本寿和
images:iStocks/pgraphis

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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