パクソスとステートストリートが提携、株式決済インフラ試験統合

パクソスとステートストリートが提携、株式決済インフラ試験統合

暗号資産(仮想通貨)取引インフラやカストディサービスを提供するパクソス(Paxos)が、機関投資家向け金融サービスの世界有数のプロバイダーであるステートストリート(State Street)と提携したことが5月17日に分かった。

そしてステートストリートは自社の暗号資産(仮想通貨)カストディサービスを、パクソスの決済サービスに試験統合したとのこと。両社の実証では、株式取引が同日(T+0)で決済できることが分かったようだ。既存の金融機関らが2024年までに「T+1(約定日から1日後)」での株式取引の実現を目標にしている状況の中、同日取引の可能性が示された形だ。

具体的にこの実証は、ステートストリートがパクソスのプラットフォーム上での株式の決済・保管と、クレディスイスとの資産移動のシミュレーションを効率的に行えるかどうかに関するものだったようだ。

ちなみにパクソスの決済サービスの名称は「Paxos Settlement Service」で、イーサリアムのプライベートブロックチェーンが基盤となっている。 

パクソスのCEO兼共同創業者チャールズ・カスカリラ(Charles Cascarilla)氏は、次のようにコメントしている。

「パクソスの決済サービスは、当社の最新のインフラが効率性を高め、リスクを低減し、革新性を高め、透明性を提供することにより、市場の中核業務に革命を起こすでしょう。ステートストリートは市場のリーダーであり、その容易な統合能力は、パクソスのプラットフォームが今日のシステムと如何に相互運用性があり、デジタル世界への道筋を作るものであるかを示しています。市場参加者は、より速く、より安全で、より公平で、よりオープンな市場を育成する環境を必要としています。パクソスの技術は、競争力のある決済ソリューションが如何に市場をポジティブに前進させることができるかを示しています」

ステートストリートデジタルの責任者ナディーン・チャカー(Nadine Chakar)氏は、次のようにコメントしている。

「パクソス、クレディスイス、そしてステートストリートのチームと協力し、同日(T+0)決済を促進する、この興味深い業界イニシアティブを実施できたことを非常に喜ばしく思っています。ステートストリートデジタルは、イノベーションを推進し、業界のデジタル変革に取り組むために設立されました。このパイロット版は、フロント、ミドル、バックオフィスにわたって顧客をサポートするという当社の幅広い取り組みと一致するものです。また、ブロックチェーン技術の利用が取引のライフサイクルの自動化に役立ち、コストを削減し、今日の決済環境で使用されている従来の照合プロセスを不要にし得ることをさらに実証するものです」

また株式決済に関する類似した事例として、DTCC(The Depository Trust & Clearing Corporation)も、株式や中央銀行デジタル通貨を運用するため決済基盤のプロトタイプを開発している。

参考:Paxos
images:iStcosk/pgraphis
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。